人間社会で生きていると、さまざまな人に出会う。その出会いが人を成長させる、という見方もあるが「どう考えても自分の人生にとって無意味。むしろ大損だった……」と感じてしまう出会いも存在する。

 今回話を聞いたふたりの女性は、職場のアラフィフ男性から望まぬ好意を寄せられたり、セクハラを受けたりした壮絶体験を語ってくれた。(全2回の1回目/2回目を読む)

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 浜野明里さん(仮名・26歳)は、準大手ゼネコンの設計部で働いている。男性が多い職場だが、新卒で入社してから4年間は理不尽な出来事に遭うこともなく、平和に過ごしていたという。そんな彼女の日常を狂わせたのが、同じ部署で働くベテラン社員・小島賢治(仮名・50代)だ。

※写真はイメージです ©iStock.com

「小島さんはそこそこ仕事ができるのですが、上が詰まっているからか50歳くらいなのに平社員の男性です。髪は少なくて、身長は160cm前後、体型は中肉。普通のおじさんでしたが、おしゃれには気を遣っていたので、不潔な感じはなかったです」

 部長の腰巾着で、部内の盛り上げ役だった彼について「チャラくて騒がしいおじさんだと思っていましたが、特に絡みもなかった」と、浜野さんは語る。しかし昨年、同じ物件の設計を担当することになり接点ができたという。

「その物件の担当者は私を含めて3人。打ち合わせには、毎回同じメンバーで行っていました。でもある日、そのうちのひとりが来られなくなり、小島さんと私のふたりだけになったんです。打ち合わせの後に飲み屋に誘われて、断る理由もなかったので初めてふたりで飲みに行きました」

しきりに「楽しい子なんだね」とほめられた

 そこでは仕事や家庭の話など、当たり障りない会話をしたふたり。

「そのとき初めて、小島さんが結婚をしていて23歳の息子さんがいることも知りました。ただ、その飲みの席ではしきりに『想像よりも楽しい子なんだね』と言っていて、私を気に入った様子でしたね。たしかに、会社ではおとなしくしていてあまり目立たないタイプなので、そこそこお酒を飲むのも意外だったのかもしれません」

 終始ご機嫌だった彼は「ここだけの話なんだけど……」と前置きをして、2022年の春に生まれ故郷である九州への異動が決まっている、と話し始めたそう。

「すると『じつは行っておきたいお店が東京にたくさんあるんだけど、妻に断られちゃって……。もしよかったら、異動するまでのあいだ、ときどき食事に付き合ってくれる?』と提案されたんです。相手は既婚者で息子さんとは年齢が近いし、娘みたいに感じてくれているのかな、と思って気軽にOKしました」