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「このホテルに部屋取ってあるんだけど、どう?」

 浜野さんは同時に「自分の子どもと同世代の女に下心を持つはずがない」とも考えたそうだ。しかしその後、彼女の予想は大きく外れてしまう。

「それから2週間後に誘われたのは、銀座にある小綺麗な和食店でした。ずいぶんデートっぽい店だな、と思ったのですが、そのまま普通に食事をしたあと、2軒目に行くことになったんです。そして次に訪れたのは、ホテルの最上階にあるバーでした」

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 夜景を見ながら酒を飲んでいるうちに、浜野さんの終電の時間が近づいてきた。終電なので帰りたいと伝えても「もう少し」といいながら引き止められたという。

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「もう本当にギリギリだったので立ち上がると、いきなり『このホテルに部屋取ってあるんだけど、どう?』と言ってきたんです。それまでそんな雰囲気もなかったし、そもそも私に対して下心があると思っていなかったので……。驚きすぎてどうしていいかわからず、『エヘヘ、今日は帰ります』と愛想笑いをして小走りでバーを出ました」

 あとになって、バーにいる最中に小島氏がトイレに立ち、15分ほど戻らない時間があったのを思い出した浜野さん。そのタイミングでロビーに行き、チェックインを済ませていたのかも、と振り返る。

「今でこそ『ワンチャン誘えば来る女』と思われていたのか、と腹が立っていますが、当時はかなり混乱しました。どうしていいかわからず、仲がいい女性の先輩に“友だちの体験談”として話してみたんです。すると『それは昭和の手口だね』と言われました。

 なんでも、昔はホテルのバーに連れていって、勝手に部屋を取り、女性を連れ込むのが常套手段だったとか。少なくとも、私の世代では聞いたことがない手法だったので、衝撃を受けました」

 50代のアプローチ方法は若い世代には通じなかった。そもそも「既婚者が会社の若者に手を出すリスクを考えないのか」と浜野さんは憤る。