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不気味すぎたメールの一言
<俺、4月から九州に転勤だから、最後に思い出がほしかっただけなんだよね……>
「いやいや『そっか、最後の記念だから温泉に行ってやるか』とでもなると思ったんですかね? あまりにも論理が破綻していて、宇宙人と会話をしているような不気味さがありました。
これも友人の体験談として女性の先輩に話すと、バブル時代に若者が読んでいた『ホットドッグ・プレス』という雑誌に載ってたテクニックらしいんですよ……。ひとつのエクスキューズを提示すると、女性の心理的ハードルが下がる、という謎理論だそうです」
女性の先輩は「そいつ、相当ヤバいオッサンだね」と呆れていたとか。
「しかも、あんなに4月に異動すると言っていたのに、今のところそんな兆しは微塵もありません。『転勤が半年延びた』とか言ってるんですけど、そんなことってありえるんでしょうか。視界に入れるのもイヤなので、早くいなくなってほしいです……」
彼女の勤務先には「ハラスメント相談室」が設置されている。セクハラとして訴えられないのか、と尋ねると「案件が佳境に入っているため、自分の都合で仕事の流れを止めたくない」と、彼女は首を振った。
はたして彼女は、再び平穏な毎日を取り戻せるのだろうか。