「きゃー! 怖い怖い!」
後方を走っていた軽トラックが急速に速度を上げ、追い越しをすると車内に女性の悲鳴が響き渡った。追い越しをした軽トラックは青信号にも関わらず、急停車。横からは別の車が幅寄せしたため、女性を乗せた車は停車を余儀なくされた。
間もなく軽トラから60歳ほどの高齢女性が下りてきて、「ドンドンドン!」と窓を激しく叩き始めた。幅寄せしてきた車からも中年男性が下りてきて「非常識ですよ?」「謝れ!」と二人は怒気をはらんだ声を発した。ドアが開けられ、窓を叩いていた女性が助手席にいる女性を掴もうとすると車内はパニック状態になった。
やがて、高齢女性は「いいよ、行け!」と吐き捨てるように言うと軽トラに戻っていき、幅寄せしてきた車と共に交差点を左折して夜の闇に消えていった――。
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危険な“あおり運転”をした運転手の正体は…?
取材班が入手した動画には一歩間違えれば追突事故を起こしかねない危険な“あおり運転”の一部始終が映されていた。被害にあったA子さんは当時の恐怖心をこう語る。
「もう『殺される』と思いました。以前にも後をつけられて怒鳴られたこともあったので、トラウマになっているんです。相手の声を聞いた瞬間、その恐怖がよみがえってきてパニック状態になってしまって、ずっと助手席で縮こまっていました」
取材を進めると、被害にあったA子さんとあおり運転をした運転手は離婚訴訟の係争中で、窓を叩いていた高齢女性はA子さんの義理の母親だった。夫婦は二人の子どもの親権をめぐって泥沼の争いをしていることもわかった。