まずイジメ行為の存在については、<「死ね」「ウザい」「キモい」などの暴言>や<突然ホースを向けて被害生徒に見ずを掛け、被害生徒の左半身の胸から下までを水浸しにした><鶏のフンが付いた長靴を被害生徒の鼻先に突きつけ「洗え」と命じた>などの12項目を検討し、8項目について「いじめがあった」と初めて認定した。
イジメが佐藤くんの自殺未遂の原因になったかどうかについても<「いじめ」との事実的因果関係が認められる>と報告されている。
学校側の対応についても<被害生徒及びその保護者が何を訴え、何を要求しているのかを十分寄り添って確認することができず、事態を悪化させた>と厳しく指摘し、イジメではなく生徒間のトラブルとして処理しようとしたこと、関係者への聴き取りが遅かったことについても学校側の落ち度を認定した。
佐藤くんが登校を再開するにあたって取られたイジメを行った女子生徒たちとの接触防止策なども<方策が不十分>だったとし、事件後の対応についても改善の余地を指摘した。
調査報告の場には秋田県教育委員会の委員も同席したが、佐藤くんや両親に対する謝罪の発言はなかった。
「普通の高校生活が送りたかった」
佐藤くんの母親は第三者委員会の調査報告結果について、声を詰まらせながらこう語った。
「息子の自殺未遂から1年半が経過しましたが、息子の時間はイジメを受けた時から止まったままです。つい2日前にも下校途中で加害生徒と遭遇して救急搬送されました。もっと早く学校が適切に対処してくれていたら、これほど重症化することはなかったと思います。イジメが起きた当時の能代西高校の校長は、すべての対応を棚上げして2020年の3月で定年退職されています。一言でもいいので洋二郎に謝ってほしいです。報告書の事実認定にも納得しておらず、意見書を出して再調査を要請するつもりです」
佐藤くん本人は文春オンラインの取材に以下のようにコメントを寄せた。
「僕が思っているのは、普通の高校生活が送りたかったということに尽きます。僕をイジメた生徒たちに謝ってもらっても、イジメを受けた過去は消えません。本当はもう関わりたくないんですが……。今回の第三者委員会の調査でやっと終わると思っていたら、僕がイジメを受けていたことは部分的には認定されましたが、明らかに大勢の人間が見ていたのに事実認定されなかった部分もあり、何のための第三者委員会なのかわからなくなりました」
事実調査が決着したことで、これからはイジメを行った生徒たちへの学校側の対処に注目が集まることになる。
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