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「加害児童の保護者との面談をした校長先生は『(加害児童の)お子さんが精神的なダメージを受けている。(いじめの)会話になると不安定になってしまう』と言い、加害者側は謝罪が難しいというのです。『謝罪をしてくださいと強く指導するのは難しい』とも言っていました。私としては、『ダメージを受けているのは一緒です。それを理由にするなら加害者の気持ちに寄り添っていることになるじゃないですか』と言ったんです。そもそも、早い段階で、謝罪していれば済んでいました」(同前)

 被害者の保護者に対し、「加害者や加害者の保護者に指導はできない」「指導はできても強制はできない」と発言したのは事実なのか。事実なら加害者側への指導を諦めた態度に映っても仕方がない。

「私としては、加害者とその保護者の顔色を見て、被害者に我慢を強いているように見えます」(同前)

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何よりもAくんの登校復帰が最優先課題

 Aくんの前出の手紙には〈お兄ちゃんたちや親の人たちにはぜったいあやまってほしい。…(中略)…ぼくの心はいたい〉とも記されていた。不登校の間、タブレットは配布され、一部の課題は提出したが、それ以上の十分な学習支援はない。

 4月に入り、Aくんは校長や市教委担当者と面談をした。そのとき、「僕は心が傷つきました。心がおかしくなりそうです。学校には二度と行きたくありません」「お兄ちゃんたちと親に謝ってほしい」と発言した。学校は、謝罪の場は設けるのだろうか。

 取材に対して、川口市教委の担当者は「登校復帰には、『加害をしたとされる児童と保護者の謝罪が必要』というのがAくんと母親の意向です。学校や市教委も、これまでも加害側の保護者にも、Aくんへの謝罪を働きかけてきました。今回は報告書が出たため、認識を改めるように、引き続き働きかけをしておきたい」と答えた。

 Aくんの母親は再調査を求める所見を出している。この点について、同担当者は「報告書は、いじめの有無の判断になっています。内容面なら、追加調査という考えもあります。ただ、学校や市教委の対応についても加味してほしいという点も話には上がっています。その場合、新しい委員のもとでの再調査も検討することになります。ただなによりも、最優先は、Aくんの登校復帰です」と話した。