埼玉県川口市立小学校に通う男子児童Aくん(3年生)が、2年生から不登校になっている問題をめぐり、学校内の「いじめ問題対策委員会」(以下、調査委)で「調査報告書」が3月末までにまとまった。

 保護者が要望していた調査委だが、しばらく委員が決まらず、設置されない状態が続いていた。その後、第三者が委員となった。その上で、Aくんが「不快なあだ名」で呼ばれたことなど一部のいじめを認定した。学校や市教委は調査を踏まえ、加害者側の児童に謝罪を促したが、「精神的にダメージを受けている」との理由から実現していない。

川口市教育委員会 ©渋井哲也

いじめ謝罪後に挨拶を無視され再び不登校に

 前回の報道後、調査委が学校内に設置され、2021年11月に初会合を開いた。2022年3月18日、報告書がまとまり、学校側がAくんの母親に示した。それによると、Aくんが1年生だった2021年2月、上級生の児童5人を含めて、6人で鬼ごっこをしていた。その中で、Aくんにとって「不快なあだ名」で呼ばれた。身体的特徴を指摘したものだ。その後、Aくんは母親のもとへ行き、母親は上級生の児童に対して厳しく注意した。翌日、Aくんの母親が学校に報告した。調査委はこの件を「いじめ」と認定した。

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 この「いじめ」の後、当初はあだ名で呼んだことを5人は認めなかったが、3月16日、謝罪があった。この点について、報告書では具体的には触れていない。

「このときの謝罪で息子は仲直りしたと思っていたようです」(母親)

 しかし、再びAくんは学校へ行けなくなる。2年生になった同年4月、「不快なあだ名」で呼んだ児童のうちBくん(当時4年生)、Cくん(当時6年生)の2人に学校外の習い事で出会った。Aくんが仲直りしたと思っていた2人に挨拶しようとした。BくんとCくんは「え?」「なに?」と言った。そのことで、Aくんは2人を怖がった。以来、ほとんど学校へ行っていない。

「習い事」は学校外のこと。学校では「対応が難しい」といい、母親は市教委に相談した。この2人とは別の日、市内の薬局でも偶然会ったが、挨拶もなかった。

「私たちの顔を見て逃げるようにして帰って行った。学校は本当に指導したのかと思いました」(同前)