いじめ対応の一環に虚偽の文書を作成したとして、2022年2月7日、大阪市内の小学校校長が虚偽公文書作成罪と公務員職権濫用罪の疑いで大阪地検に書類送検されていたことがわかった。いじめの被害を受けた女子児童・菜摘さん(仮名。現在小学校4年生)の父親が刑事告訴しており、大阪府警から連絡を受けたという。
学校側はいじめ・不登校を認めたものの…
父親が入手した資料によると、学校・市教委側は、当時小学校2年生だった菜摘さんがいじめの被害にあったことは認めている。加害児童も特定している。しかし、その書類に虚偽の事実を書くことで、菜摘さん本人や家族の問題を強調した形になっていると菜摘さんの父親は指摘する。
学校側が市教委に提出した「児童事故報告書」(2020年1月14日付け)によると、「分類」は「問題行動」とあり、「種別」として「いじめ」となっている。被害内容としては、「つねる・叩く・襟元をつかむ等のことをされる」とある。「場所」は「教室等」と記載されており、「(学校の)管理下」で起きたことが示されている。いじめがあったことや、不登校になり、重大事態となったことは認めている。
「1年生の夏頃、菜摘が自分で前髪を切ったことがありましたが、それは(加害児童の)Aに前髪を切られそうになり、あまりにもしつこいので、自分で切ったということです。また、2年生の夏休み前後、Aに追いかけ回されて、女子トイレに逃げこんだけど、中まで追いかけてきて怖かったようです。菜摘はなかなか被害のことを話しませんが、夢を見て、泣き叫ぶこともあります」(菜摘さんの父親)
時系列としては、19年5月以降、菜摘さんの保護者から担任・教頭に対して、加害児童からいじめを受けているとの問い合わせがあり、学校側は調査を行った。そこで確認した事実としては、5月14日、菜摘さんが加害児童Aに帽子を隠されたり、加害児童Bに毛虫を踏むように言われた。同16日、加害児童Cに菜摘さんがすねを蹴られた。同22日、菜摘さんが加害児童Aに標準服ズボンで叩かれる、などと書かれている。
「16日のところは、菜摘に悪口を言われて腹を立てた加害児童Cがしたと報告されています。しかし、担任と教頭も同席した同21日の謝罪の場で、この事実はなかったとC君の保護者の口から証明されています。学校側に都合が良いから、事実と違ってもこうやって書き立てているのです」(同前)
「実在しない会議」「加害者側に偏った内容」が書かれた報告書に募る不信感
教育委員会は20年1月31日、「いじめ重大事態に関する報告書【第1報】」を作成。市長に提出した。ここには5月21日午後、学校が「いじめ対策委員会」を開催し、その後も6月、10月、11月、12月に「計7回行う」と記されている。しかし、菜摘さん側が求めた開示請求によると、一切の記録がないとされた。父親は「本当に開かれたのか」と懐疑的だ。また、一部の内容には、加害者側だけの言い分が書かれている箇所もあり、不信感を抱く要素ともなった。