2019年に大阪市内の小学校で、当時2年生だった菜摘さん(仮名)がいじめを受け、それに対する学校の対応が不適切だったことから不登校になったとして、保護者が詳細な調査を求めていた。この問題をめぐり、大阪市の第三者委員会は報告書を公表した。
報告書によると、2学期中の欠席は加害児童からの危険を回避するためであり、いじめを原因とすることが明らかだ、とした。しかし、その後の欠席は、教員への不信感が影響していた、とまとめた。
報告書で指摘された4つの事実関係
菜摘さんは、加害児童から繰り返し叩く、蹴るなどの暴力を受けていたほか、暴言もあった。いじめの被害を担任などに訴えたものの、取り合ってもらえなかったという。
菜摘さんの父親は、筆者の取材に対し「報告書の内容は、おおむね支持しています。いじめ防止対策推進法(以下、いじめ防対法)の調査は、これが『違法な状態』とか『これは犯罪』などと明らかにすることが目的ではありません。同じことが今後起きないようにするため、事実関係を明らかにすることが目的です。報告書としては、限界だろうというところまで攻めている」と話した。
報告書は、「児童等がその生命等に著しく重大な被害を受けた事案に関する第三者委員会」の部会(部会長、吉田圭吾・神戸大学大学院教授)が作成した。いじめに関する事実関係について、報告書は以下の点について指摘している。
1 菜摘さんは小1のとき、加害児童らからいじめを受けていた。
2 菜摘さんは小2の5月、加害児童らからいじめを受けた。
3 菜摘さんは小2の9月ごろから、加害児童から複数回に渡り、継続的に暴力を振るわれるようになった。また嫌なことも言われた。学校では菜摘さんへのいじめを受けて、担任が朝の職員会議に出ず、教室にいるという対応をしていた。しかし、校長の判断で9月にこの対応をやめている。加害児童の菜摘さんへの暴力は、担任のこうした対応をやめた後に行われるようになった。
4 学校は、菜摘さんへのいじめを過小評価していた。加害児童の特性を踏まえて、速やかに調査をしていれば、その後の被害拡大を防げた。
校長が変わったら、担任は間違った対応をしなかったかもしれない
――内容としてはどう思っていますか。
「事実関係については、私たちが説明したことを書いてあることが多く、正確だとは思います。ただし、前提条件として、調査の前に、私たちが加害者側との間で起こしていた民事訴訟で和解しています。そのため、報告書では、いじめについてはできる限り、詳細な指摘をしてない側面があります。ただ、第三者委員会の記者会見では『日数や種別を数えると、認定されるべきいじめは(最低でも)30件以上はあるだろう』とおっしゃっていました」(菜摘さんの父親、以下同)