――菜摘さんはどう受け止めていますか。
「今回、報告書が公表されるタイミングで娘に文章を書いてもらったんです。最初に出てきたのは、当時の担任への恨みごとでした。当時のことについては、話をお互いにする中で、担任は何事もないクラスにしたかった。だから、児童に向かって、不適切な言動をしました。
それを許してしまったのが教頭先生であり、そもそもそうした方針にしたのが校長ということは理解しているみたいです。だから校長が変わったら、もしかしたら担任もそのような対応はしなかったかもしれないというのは理解していますね。ただ、最後には、今の学校への感謝が出てきましたので、当時の学校への怒りとはまったく別のものと思っています」
いじめによる風評被害
いじめ防対法では、いじめの定義に「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」が入っている。しかし、今回の報告書には、さまざまな出来事があった際の、菜摘さんの心情までは記述されていない。
「小学校2年生のこと、つまり3年前のことですから、当時の娘の心情を推察するのは非常に難しいです。娘は発達障害である上に、適応障害の診断を受けました。いまだにカウンセリングを受けなければならない。
報告書について、娘には『あなたの立場に立った中身が書かれている』とは説明してあります。当時の同じクラスだった子たちには、QRコードを使って配ったりしています。同じ学年の子どもたちには名前も出しています。『娘のー件で、報告書が出ていますから、読んでくださいね』と。これで風評被害とかについてもなくなっていくのかなとも思います」
菜摘さんの母親を“モンスター・ペアレント”扱い
風評被害とは、いかなるものだったのか。
「もうひどかったですよ。もともと、僕らに対しては『いじめの実態があるものではない』という噂を声高に騒ぎ立てられていました。そして、騒ぎ立てたから、同じ小学校2年生ぐらいだったのに、突然加害児童が別室指導になった、と。でも、僕たちからすると、この被害は少なくとも半年から1年ぐらいかかって行われていたもの。突然っていうことではないですよね。
加害児童が転校した件に関しては、何かコネがあったから別室指導にできたわけでもないです。ですが、大声で説明して回るわけにはいかず、非常に辛い状態が続きましたね。突然クラスが冷たくなり、ある日突然、クラス全員が他人になったような気がした時があったんですって、その時から学校に行けなくなったっていうような感じです。
そのため、報告書を見せることで、一定程度、解消されることを期待しています」