現在放送中のNHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、大泉洋演じる源頼朝が亀という女性を愛人にして、妻の政子(小池栄子)にバレたあげく、政子の命令で亀の住む館が襲撃される事件にまで発展した。
史実では亀(亀の前)はそれなりの家柄の娘だったようだが、『鎌倉殿~』で江口のりこが演じた亀は、もともと房総半島の漁師の妻だったのが、自らの意志で夫と別れて頼朝に近づき、成り上がった野心家だった。
頼朝が鎌倉に入ってからの亀は我が物顔で振る舞い、御所に侍女として入った八重(新垣結衣)が頼朝の前妻と知るや、寝室に呼びつけて自分と頼朝が一緒にいるところを見せつけたりと、底意地の悪さを発揮する。館を襲撃されたあと、政子とついに対面したときもまったく悪びれず、逆に政子に教養を身につけて御台所にふさわしい女性になってほしいと諭し、最後には「(あなたは)憧れの的なんだから、坂東(関東)中の女の」と、ぶっきらぼうながらもエールを送って劇中から退場した。
4月28日は江口のりこ42歳の誕生日
きょう4月28日に42歳の誕生日を迎えた江口のりこは、昔からこの手のふてぶてしい役がハマる。『鎌倉殿~』の脚本家・三谷幸喜の作品には演じ手に合わせて人物を造形するあて書きも多いが、亀もまたかなり江口のキャラクターに寄せていた。
『鎌倉殿~』以外にもここ最近の出演作では、亀ほどのふてぶてしさはなくとも、野心家タイプを演じることが目立つ。昨年放送された主演ドラマ『SUPER RICH』(フジテレビ系)での役どころは、親の莫大な遺産を資金に起業して成功を収め、ビジネスパートナーの不祥事により無一文となってもなお逆転を目指す女性だった。
また、今月からスタートした『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)では、大企業を舞台に、今田美桜演じる危なっかしくも豪胆な新入社員に目をつけ、出世させようと画策する先輩社員に扮する。彼女自身がかつてその会社で将来を嘱望されていたという設定だ。
ひょっとすると、野心家という役柄での起用が増えたのには、江口自身がこれまでインタビューでたびたび語ってきた下積み経験を念頭にした部分もテレビ局側にはあるのかもしれない。