1ページ目から読む
4/4ページ目
私は小松氏と全く同年だったので、日頃から少々無礼な口をきく空気も許されていた。
「小松さんから、そういう陛下像を聞くとは思わなかったわ。もう少し批判的な、と言うか……」
すると小松氏は楽しげに私に反論した。
「いや、あの方は大した方だよ。素質も素質だけど、生まれた時から、超一流の知性たちの実に正しい話を聞いて来てるから……」
ご退位以後、長年のお疲れを癒やされたら、皇后さまには前以上に世間の隅々をご覧になって頂けたら、と希っている。書店にももっと頻繁に立ち寄られ、児童図書の棚の前でもゆっくりなさって頂きたい、と思う。そこで初めて両陛下の全日本発見の旅が完成されるというものだ。