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「主人が帰ってこない」…2年で3人が自殺 長野“職員100人の町”で何が起きているのか

「主人が帰ってこない」…2年で3人が自殺 長野“職員100人の町”で何が起きているのか

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前町長「全責任は私にあります」

――A氏の自死の責任を前町長に問う声があるが。

「Aさんには台風の責任を一身に背負わせてしまった。廃土で果樹園などの根が腐ってしまうから、農家の方々に『いつまでに処理できるんだ』と私も含め、かなり叱られた。奥様は私のことを許せないでしょうが、一生お祈りをしていかなくてはならないと思っている。いずれは副町長にでもなって貰えたらと思っていたが。全責任は私にあります」

――民間での経験をもとに年功序列を壊した?

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「ソニーでの経験を生かした部分はあります。私が町長に就いた17年前はどこの市町村も財政が酷い状態で、それを立て直す使命もあった。職員は“役場が安定的な職場である”というだけでは困るのですが」

 教育長の、職務中の不動産取引は「全然知らなかった」と驚いてみせた。

千曲川沿いの桜も有名

桜井町長「町として責任は感じています」

 一方、現在の桜井町長は、

「私の就任後にもお2人が自ら亡くなられてお悔やみを申し上げます。町として責任は感じています。人員を増やして作業を軽減したり、役場でのコミュニケーション改善に取り組んだりしているところです」

 実は役場では今も休職者や退職者が相次いでいる。

「教育委員会のCさんの後任職員が療養休暇を取った。Cさんの机に座っているのが辛そうだったといいます。美術館職員も人間関係に悩み療養休暇中。Aさんの元部下の係長職は3月に教育委員会への異動の内示が出ると、すぐに退職を願い出た。上層部が職員を気に掛けているとは思えず、皆、心身ともにボロボロです」(前出・ベテラン職員)

 規模の大小も、都会も地方も変わらない問題が、ここには横たわっている。

「主人が帰ってこない」…2年で3人が自殺 長野“職員100人の町”で何が起きているのか

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