〈あらすじ〉
2004年のロシア、エカテリンブルク。漫画を描くことが好きな自動車工のペトロフ(セミョーン・セルジン)は、流行中のインフルエンザに罹り発熱し、トロリーバスに乗り込んだ。意識が朦朧とし、現実と妄想の境界線が曖昧になりながらもなんとか帰宅する。家には離婚したが関係が続いている妻のペトロワ(チュルパン・ハマートワ)と息子が来ていて、2人ともインフルエンザに感染していた。ペトロフの意識はやがて、ソビエト時代の幼少期の記憶に回帰する。
〈解説〉
『LETO―レト―』のキリル・セレブレンニコフ監督がアレクセイ・サリニコフのベストセラー小説を映画化。インフルエンザに罹った家族を軸に、2004年、199〇年代、1976年を行き来しながら、ロシア社会を風刺する。第74回カンヌ国際映画祭フランス映画高等技術委員会賞受賞。146分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★★大胆にして緻密な不条理劇というか悲喜劇というか。コロナ禍やウクライナ問題も連想させられる。撮影も上等。面白い。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆荒々しいイメージが多重衝突する第一印象だが、饒舌と誇張の陰で意外に緻密な計測が働く。元妻の異様な腕力に笑った。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆哲学、幻覚、現実、妄想がぎゅう詰めで猛烈に刺激的な作品なのか。時間のシャッフルや突然の恐怖に全くついていけず。
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森直人(映画評論家)
★★★★★凄い。地獄の混沌から莫大なエネルギーが噴き上がる。発熱状態で冷たい地を彷徨う、変異的な構造美のロシア諷刺奇譚。
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洞口依子(女優)
★★★★☆エカテリンブルクの暗闇に妄想と現実が交錯するソ連崩壊後のオディティなオデッセイ。カラシニコフなど銃器も見所。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『インフル病みのペトロフ家』(露、仏、スイス、独)
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https://moviola.jp/petrovsflu