しかも、メドベージェフ大統領の時代に、大統領の任期を4年から6年に延長させていました。この結果、プーチン大統領は2018年までの一期を務めた後、再選を果たし、2024年までの2期目を務めている最中というわけです。実に長期にわたってロシアのトップの座を維持しています。
こうなると、国際社会は、プーチン大統領が2024年以降、どうするつもりなのかと憶測をたくましくしていました。2024年に再び首相に就き、その後で再び大統領になるつもりではないかとの見方もあったのです。しかし、そうはならないようです。では、いったいどうするのか。
メドベージェフ首相が辞職した後、プーチン大統領は、後任にミハイル・ミシュスチン氏を任命しました。これには世界が「ミシュスチン氏って、だれ?」という反応を示しました。国際社会に知られていない人物だったからです。
ミシュスチン首相は53歳。連邦税務庁の長官として辣腕を振るい、非効率だったロシアの税務行政を刷新するという実績を残しています。
これまでのメドベージェフ首相が不人気だったため、実力派の首相に交代させることで、自分の政権を安泰にしようという狙いがあるものと見られます。
議会の力を強める
プーチン大統領にとって大事な首相の条件は、実務派で権力欲のない人物。間違っても自分に取って代わろうとするような人物は選びません。ミシュスチン首相は、その点でピッタリというわけです。
では、プーチン大統領は何をしようとしているのか。それは氏が提案した憲法改正案を見ればわかります。大きな柱は2つ。まずは大統領の3選禁止です。いまの憲法の規定では、大統領の任期は連続2期まで。この「連続」という語句を削除することで、大統領は2期しか務められない仕組みにしました。つまり、プーチン大統領自らが実行したような「いったん大統領を離れたあと、間をあければ再び大統領になれる」という可能性の穴を塞いだのです。
つまり、やがて自分と同じような長期政権が生まれないような仕掛けです。長期政権はプーチン政権だけでいいというわけです。