文春オンライン

「オオクボ、またお前か」とニコニコ…大久保嘉人が語る“怖いけどチャーミング”なオシムの記憶

2022/05/04
note

2004年にジェフ戦でハットトリックを決めたとき…

大久保 まず日本代表の立ち位置ですよね。それまで日本代表の視線は日本だったんですけど、オシムさんは世界トップレベルの視点で日本代表を率いようとしていた。代表選手の思考もガラッと変わった気がします。

 練習法もこれまでに代表になかったものばかり。僕は03年に代表入りして以来、色んな練習をしてきましたけど、オシムさんに招集され代表練習に初参加したときは、こんな練習もあるんだと驚きの連続でした。

 例えば、ビブスの色を何色も用意し、パス練習の時に色の順番を変えて練習するなど、とにかく頭と体を同時に使うことを要求された。初めは頭がこんがらがって上手くできなかったけど、頭使うから飽きないし、とにかく面白かったんですよ。

ADVERTISEMENT

イビチャ・オシム元サッカー日本代表監督 ©getty

 それまでの代表は、技術と身体を鍛えるのに重きを置いた練習だったけど、オシムさんはそこに頭もプラスした。オシムさんは「考えて走るサッカー」を日本代表に徹底させようとしていましたね。

――大久保さんはオシムさんに出会う前にスペインで活躍していたこともあり、オシムさんのやりたいサッカーの理解も早かったのでは。

大久保 それもあるかもしれません。ただ、オシムさんがジェフを率いていた時代に僕はセレッソ大阪の選手だったこともあり何度も対戦していたんです。そのたびに声をかけてもらっていましたね。特に、04年にジェフ戦でハットトリックを決めた時は、「オオクボ、またお前か」と負け監督にも拘わらず、ニコニコしながら僕を称えてくれました。

関連記事