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「いまの若手を伸ばすにはまず共感」“過酷すぎるサッカー部”出身の那須大亮が見た“令和の選手の新しい強さ”《W杯2022で勝つ力とは》

那須大亮インタビュー#2

 様々な名門クラブを渡り歩き、2019年シーズンのヴィッセル神戸の天皇杯優勝と共に現役生活を終了した元プロサッカー選手の那須大亮氏。引退後は、以前から続けていたYouTubeに活躍の場を広げ、昨年にはインフルエンサーによるサッカーチーム「Winner's」の監督も務めた。

 YouTube動画では強豪高校サッカー部やクラブユースの練習に「体験入部」し、日本サッカー育成年代の“リアル”に接している。那須氏がしのぎを削った90年代以前の部活動にはあった理不尽で厳しすぎる練習風景は少なくなった一方、いまの時代に合った育成方法で伸びる「新しい強さ」が芽生えてもいるという。

 那須氏流の“若手育成術”に迫った。(全2回の2回目。前編から読む)

©文藝春秋 撮影/石川啓次

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選手を一番支えるのは結局メンタル

――海外の選手と比べたときに、平等を重視する日本の環境だと“覚悟”に差が生まれてしまうと。

那須 たとえば試合で負けたら選手が街に出れないとか、生死を感じてしまうくらい周りやサポーターが過激化するとか。海外ではそういった状況がクラブによってはあり得ます。

 僕の世代だと、高校サッカー部の理不尽さが海外での厳しい環境の代わりになっていたところはあると思います。苦しい局面がたくさんありました。ただ、そのおかげでプロになっても苦しいシチュエーションに置かれた時に乗り越えることができた。ストレスを回避する方法を理解していたからだと思います。

©文藝春秋 撮影/石川啓次

――那須さんも鹿児島実業高校の選手として「第78回全国高校選手権大会」に出場し、準優勝を果たしています。高校時代はやはり大変でしたか?

那須 当時に戻りたいなとは全く思いませんが(笑)、一番上手くなりたいとか、チームで勝ちたいとか、そういう気持ちで一心不乱に練習ができたなとは思います。