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――部活動でさえ理不尽さや厳しい環境が減ってきていると。日本サッカーのレベルを上げるには久保建英選手(20)のように幼い頃から海外に挑戦したほうがいいのではないか、と考える人もいると思います。

那須 僕は一概にはそう言えないと思っています。人には成長スピードがそれぞれあって、それを自分で理解して掴まなければいけない。だからこそ正解がないんです。久保選手みたいになれるのなら僕もそうなりたかったですよ(笑)。けれど、みんなが久保選手のようにやっても同じく出来るのは一握り。久保選手の考え方などを参考にするのは良いと思うんですけど、それが正解というやり方をしちゃうと良くないと思います。

YouTube動画内で、大久保嘉人と高校時代について対談する様子(公式YouTubeアカウントより)

 僕自身は理不尽な環境でメンタルが鍛えられましたが、いまの若い子たちを見ていると“新しい強さ”もあるんじゃないかと感じるんです。先ほども言いましたが、地道な走力トレーニングがそれにつながることもありますし、ひとつひとつの練習の意味を考えてこなすことで個の力が強くなることもある。

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時代と共に指導者も変わらなければいけない

――それを伸ばすにはやはり「共感」が大事だと。

那須 そうですね。まずは共感して、相手に心の準備ができたら、指導の理由まで理解できるよう伝える。YouTubeで体験入部をしている理由は、こういうところにもあるんです。選手と同じ練習をして、少しでも僕に共感してもらったうえで、最後にメッセージを伝えている。すると、メッセージがスッと届くんです。選手たちの目が違ったり、選手から質問を投げかけてくれたり。反応が変わるんです。

 那須氏は最後にこう語った。

「若い世代は時代と共に変わっていきます。だから指導者も変わらなければいけない。皆がトライすることで日本サッカー全体のレベルアップに繋がると思います」

©文藝春秋 撮影/石川啓次

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