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那須 選手を一番支えるのは結局メンタル、気持ちの部分で、当時はそれが養われやすかったのが高校サッカー部だったんだと思います。高校サッカーの理不尽とも言える練習や生活が、壁にぶつかった時に前へ踏み出す土台になるんですよね。逆にスキルで生きてきた選手は、自分が行き詰まった時にスキルを磨くしかない。しかしそれはどこかで限界が訪れますから。

内田篤人も厳しい部活動が「あって良かった」

――ただ、当時のような理不尽さは、時代の変化と共に減っていますよね。内田篤人さんも著書『ウチダメンタル 心の幹を太くする術』(幻冬舎)で、自身が経験した厳しい指導について「僕にとってはあって良かったもの」としつつ、「今の子たちに僕が経験したような理不尽を経験しろ、とは言わないよ」と綴っています。

『ウチダメンタル 心の幹を太くする術』(幻冬舎)

那須 その流れは絶対的にあると思います。当時は理不尽なことが許容される時代でもありましたし、僕も怒られながらも監督に立ち向かっていって、そのなかで伸びるタイプでした。ただ、いまの時代には当時との“温度差”を強く感じます。今はかつてのような理不尽なことができないということ以上に、それで伸びる選手が多くない。

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 頭ごなしに怒られることに耐性がついてない子が多いので、彼らを伸ばすには伝わりやすい言葉を選んで指導する必要があると感じます。時代の変化と共に、育成年代の子達だけではなく、大人も変化に応じないといけない。

若い子たちの指導では「共感すること」が大切

――那須さんはインフルエンサーのサッカーチーム「Winner's」の監督として、若い選手を指導していますよね。

winner_sで監督をする那須(公式YouTubeアカウントより)

那須 現役時代から気にかけていたことですが、若い子たちを指導する上で共通して一番大切だと感じることは「共感すること」なんです。まずは会話を重ねて彼らの思いを知って、それに共感する。そして心の扉が開いたなと感じたタイミングで指導をするんです。頭ごなしに言うのとは、伝わり方が全く違います。