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三浦大輔監督は急いでいても足を止めて…元tvkアナウンサーがベイスターズと過ごした“勉強の日々”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/20
note

今でも鮮明に覚えている初めて三浦監督に挨拶した日のこと

 ベンチリポーターの仕事は、投球間に試合前に取材した選手の情報やファンの方の声を伝えたり、タイムリー談話やコーチの見立てを入れることがメインですが、リポーターだから入れられるベンチの雰囲気を伝えることも大切にしてきました。そして何より試合の状況や実況解説の方の話をしっかりみて聞いておかないと入れられなくなってしまうのでタイミングが命。試合の邪魔にならないことも心がけてきました。

 2018年8月19日の広島戦でリポートデビューした私。この日8回に代打で登場したのがプロ初打席となる山本祐大選手でした。山本選手の打球がレフトスタンド最前列に飛び込んだ瞬間のベンチの熱狂(ベンチ裏でリポートしていました)を肌で感じ、私のマイクを持つ手が興奮で震えたのは忘れられません。私のリポートデビューが山本選手のプロ初打席初ホームラン、偶然ですがなんだか私にとって忘れられない選手の一人にもなりました。

 それから月日は経ち、私がリポーターとして最後に登板した試合が2021年10月7日の阪神戦でした。

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 私にとってこの試合が最後のリポートだけど、そんなことはファンの方や視聴者の方には関係ない。私は変わらず試合を楽しみながら、選手やファンの声を届けよう。そんな気持ちで臨みました。この日は先発がロメロ投手。8回裏にソト選手の2ランホームランが飛び出し逆転に成功。9回表にはエスコバー投手が3人できっちり抑えるという、外国人選手が大活躍した試合となりました。

 最後だ~という悲しみに浸る瞬間はなく、やっぱりベイスターズの試合は面白い。最後に素敵なプレゼントをベイスターズからいただいた気持ちになりました。

 tvk入社当時はセ・リーグとパ・リーグの違いすら分からなかった私が、今ではプライベートでも試合を見に行き、ベイスターズの結果に一喜一憂するくらい大好きになったのは、背中を見せ続けてくれた偉大なtvkの先輩がいたから。「ベイスターズ魂」で荒波翔さんとお仕事したから。解説の皆さんが野球のことをたくさん教えてくださったから。ベイスターズを愛するファンの皆さんと繋がれたから。そして何より三浦大輔監督の存在が大きかったんです。

 初めてハマスタで三浦監督にご挨拶した日のこと。皆さん忙しいので歩きながら取材対応される方が多い中、足を止めて、私の目をしっかりみて「天理高校出身なんか~! 奈良県か~! 西浦(ヤクルト西浦選手)にはもう挨拶したん? これからヨロシクね!」と短いですが、優しい口調でこたえてくださったことを今でも鮮明に覚えています。のちに先輩方から「三浦さんはどれだけ急いでいても取材の時は必ず足を止めてしっかりと取材対応される方なんだよ」と教えていただきました。それから三浦監督の出した本や当時の試合映像を通してどれほどファンに愛されファンを愛し、横浜を愛した人なのかをうかがい知ることができました。

三浦大輔監督を見つめる筆者 ©瀬村奈月

 私は現在、横浜を離れ、地元の奈良に帰って新生活をスタートさせています。私が横浜を離れ、新しいことに挑戦したのにはベイスターズに関わるある人の存在がありましたが、それはまた機会があればお話ししたいと思います。

 番長とファンの皆さんとともに日本のトレンド1位、“横浜優勝”をつかみ取った2年前。次は、横浜スタジアムで“横浜優勝”という歓喜をファンの皆さんと分かち合い、トレンド1位を再び目にしたい。そしてハマの番長「三浦大輔監督」の嬉し涙を見届けたい。それが今の私の一番の夢です。

一ファンとして応援しています ©瀬村奈月

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