もしも近代文学の著名作家たちが現代で同じシェアハウスで暮らしていたら……? 漫画『めぞん文豪』は、太宰治や坂口安吾、川端康成といった文豪たちの共同生活を描いたコメディだ。
作中でもネタにされているように、「石川啄木は借金の名人」や「坂口安吾は汚部屋暮らし」など文豪には強烈な個性の持ち主も少なくない。『めぞん文豪』の原作を担当するライターの神田桂一と菊池良、漫画担当の河尻みつるに「一緒に住みたい文豪/住みたくない文豪」について妄想をふくらませてもらった。
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メチャクチャな企画が生まれた経緯
――『めぞん文豪』はどのように生まれた作品ですか? 神田さんと菊池さんが共著した『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』シリーズは累計15万部のヒットを飛ばしましたが、その流れで生まれた企画なのでしょうか?
神田桂一(以下、神田) 実は『もしそば』はあまり関係ないんです。菊池くんが「文豪がシェアハウスで生活する」というアイデアをツイートしているのを見かけて、それ自体は特にバズったりしていなかったんですが、僕はおもしろく感じたんですよね。たまたま映像制作会社で働く友人から「何かドラマ向けの企画はないか」と相談されたとき、菊池くんに無許可で(笑)、「こういう企画を見つけたよ」と先方に伝えたら、話がどんどん進んでいって……。結局ドラマの話は途中でストップしてしまったんですが、漫画の企画として復活を遂げました。
――最初は菊池さんの知らないところで話が進んでいたんですね……!
神田 途中でOKをもらいました(笑)。
菊池良(以下、菊池) 『もしそば』も同じような経緯だったんですよ。いつもTwitterにアイデアを載せたら、知らないところで神田さんが動いてくれて本になる(笑)。
河尻みつる(以下、河尻) 漫画化のタイミングで、私が制作に加わりました。自分はすごく近代小説に詳しいわけではないんですが、キャラクターをたくさん描けるシェアハウスの話はもともと興味があったので、これはラッキーな企画だなと。