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 それに、普段の自分と違う面を見せたら、相手との関係性が変わってしまうのではという不安をいつも感じていたんです。私は小学校の時は、元気で明るくていつもみんなの中心にいる女子だったので、学校では「家でツカサに変なことをされている」ということは絶対に知られないようにふるまっていました。

 子どもって、大人が思っている以上に自分を隠すのが上手なんですよね。家で虐待されていてもまわりの大人が誰も気づかないケースが多くありますが、これは仕方がない部分もあるんじゃないかと思ってしまいます。

だんだん「自分は嘘つきだ」と思うように

──「相手との関係性」とは、「嫌われたくない」ということでしょうか。

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魚田 自分さえ黙っていたら、いつも通りの生活ができるので、それを壊したくない、ということです。

 たとえばツカサのことを母に話した時に、母がツカサをかばうかもしれないですよね。それに、話したことが原因で母に嫌われるかもしれないと思ったら、「黙ってやり過ごすのが一番いい」と思いませんか? そういうことです。

『母の再婚相手を殺したかった』より

──性的虐待を受け続けたことを誰にも言えなかったことによる弊害はないのでしょうか。

魚田 一番大事なことを誰にも言えないので、だんだん「自分は嘘つきだ」と思うようになりました。

 そして、クズ人間のツカサが堂々と生きているのを見て、「男はみんなクソだ」と、異性に対してかなりゆがんだ意識を持つようになりました。せっかく好意を示してくれる異性が現れても、相手の好意に拒否反応を示したりもしていました。

性に対してオープンになってしまうケースも

──ブログでは、そんな魚田さんが妊娠・結婚されたことに対するバッシングもあったそうですね。

魚田 はい。私は妊娠がわかったあとで結婚したので、「順番が逆」とか、「性的虐待されていたくせに、よく平気でセックスできるね」という心ないコメントもたくさん届きました。

『母の再婚相手を殺したかった』より

「性暴力を受けた女性はセックス恐怖症や男性不信になる」と思っている人が多いようですが、それって実は誤解の部分もあります。実際には、私のように何をされても「たいしたことない」と自分を騙す癖がついてしまい、性に対してオープンになってしまうケースもかなりあるみたいなんですよ。

 ツイッターで性被害を受けた方が啓発運動していると、「なんで性被害者のくせに、そんなに堂々としているの」と批判される場面を見たこともありますが、それもよく考えると理不尽ですよね。