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世間からの批判や偏見を防ぐために

──性的虐待をした継父が悪いのに、なぜそんなことを言われなくてはいけないのでしょうか。

魚田 結局、偏見なんだと思います。不妊治療している方から「性暴力受けているくせに、避妊もせず妊娠するなんて最低ですね」と言われたこともありましたし、「そんなに堂々としている被害者はいない」とか、「ツカサみたいな男と一緒になる親も親だが、その娘もろくでもない。これは遺伝だ」と言われたこともありました。これもすごい偏見ですよね。

 性暴力や性的虐待を受けた人は、その受けた傷以上に、こんなふうに世間からの批判や偏見に傷つけられることも多いので、そうした弊害を防ぐための発信も、今後力を入れてやっていきたいです。

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『母の再婚相手を殺したかった』より

親も同じ人間で、ダメなところもいっぱいある

──映画監督の性暴力が明るみにでたことをきっかけに、作家の山内マリコさん、柚木麻子さんらが原作者として映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求める声明を発表するなど、性暴力に対して声をあげようという動きが加速しています。ただ、実際に魚田さんのように被害者が声をあげることはかなりの勇気が必要です。将来もし魚田さんのお子さんが気づいてしまったらどうしようという不安はないのでしょうか。

魚田 こちらから積極的に教えるようなことはしませんが、もし気づいたとしても、その時は隠さず「そうだよ」と答えようと思っています。

 私が幼い頃母を完璧だと思っていたように、親が子どもにとって絶対的な存在にならないほうがいいと思うんです。親もあなたと同じ人間で、失敗もするし、ダメなところもいっぱいある、という姿を見せたほうが、悪いことやイヤなことが起こった時に、隠さず外に発信できる子どもになるのではないでしょうか。

──第二・第三の魚田さんをつくらないために、大人は何ができますか。

魚田 自分の子どもに対しては、親である私が「あなたは絶対に悪くない」と言い続けてあげることができますが、見知らぬ他人の子に何かしてあげることができるかどうかというのは、難しいところですね……。