――自分の中では納得してやってることだけど、周りからは浮いてしまう。
鳥居 そうなんです。結構浮いてたのかもしれないです。私、子供の時「将来なりたいもの」に「神」って書いてたんですよ。
――ええ⁉︎
鳥居 神になりたいなと思ってました。でも小学校の高学年ぐらいからかな、「花屋」って書くようにしましたね。
――「神」から「花屋」に。
鳥居 みんなの顔色をうかがいまくってましたね。
だんだん、周りに合わせて嘘をつくように
――「神になりたい」と思っていた時、鳥居さんの中で神はどういう存在だったんですか。
鳥居 『猿の惑星』みたいなイメージでした。私は変わってるって言われるけど、この世が変わってる人ばっかりになったら、変わってない人が変わってることになるじゃないですか。そういう世界にしてやろうと思ったんです。逆転させてやろうと思ったの、世界を。
――その存在が神だったわけですね。
鳥居 そう。でもだんだん嘘つくようになりました。だけど人との関係性は嘘をつけなくて、全然友達ができないまま高校3年生まで過ごしましたけど。
――人との関係性で嘘をつけないのはどうしてだったんでしょう。
鳥居 目の前にいる人が求めている答えって、なんとなくわかるじゃないですか。なんでそれをわかってるのに言わなきゃいけないんだろう、って。疲れちゃうから、ずっとひとりでいましたね。
ひとりでずっと、地球が滅びた後の地下シェルターの絵とか、人間が死に絶えて、動物たちが笑ってるという絵とかばっかり描いてました(笑)。
――そのシェルターに鳥居さんは入って助かるんですか。
鳥居 私は助からないです。夢を見るときって、自分が主人公じゃないですか。なのに私は夢で流れ弾で死んだりとかするんですよ。夢が真っ暗で終わるんです。ちゃんと死ぬ。
写真=鈴木七絵/文藝春秋