「ちょっと考えさせて」が言えるようになった
――子どもの自分で生きていくことによって、鳥居さんの中で何か変化はありましたか。
鳥居 すごく楽になりました。例えば何か答えを求められた時、なんでもいいからすぐ答えなきゃって思うことがなくなりました。「ちょっと考えさせて」ということがあってもいいんだなっていう。
ああ、人って待ってくれるし、もうちょっと人を信頼してもいいのかな、と思って。それで、ちょっと人に対しても興味が湧いてきました。
――今までそんなに人に対して興味がなかった?
鳥居 なかったです。ああこういう人もいるな、面白いな、というのはありましたけど。誰かとすごく仲良くなりたいとかがないんですよ。ご飯の約束とかしても、断わる理由をそこから探しちゃってた。
――(笑)。約束した瞬間から探しちゃう。
鳥居 今は誘われた瞬間に「ああ、たぶんその時になったら行きたくなくなるから行かない」って言える(笑)。
――それは「子どもの鳥居さん」がそうさせる。
鳥居 そうなんです。子どもの頃は「やだ、行かない」ってストレートに言葉を投げつけるほうだったんですよ。それで大人になったら「ああ、行きましょう、行きましょう」と言って、行かない理由を考え始める。だから今一番いい状態、大人と子供の(笑)。
みんなが求めているものに寄せてしまう
――「鳥居みゆき」というキャラクターを手に入れたことで、生きやすくなった部分はありますか? 鳥居さんにとって「鳥居みゆき」という存在はどのように作用しているのか。
鳥居 鳥居みゆきは毒でもあり薬でもありますね。
――どういうことでしょうか。
鳥居 「鳥居みゆき」にとらわれすぎると、単独ライブでも「みんながこういう作品を求めてる」って思うものに寄せていきがちになっちゃうんですよ。
でも鳥居みゆきになにを求めるかって、それも人によって違う。たとえば内村(光良)さんが思ってる鳥居みゆきと、有吉(弘行)さんが思ってる「鳥居みゆきってこんなんだよね」は違う。