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「文政権時代の韓国政府が日本政府から信頼を失ったのはこの『慰安婦合意』の事実上の破棄が決定的だったと思います。もし、事実が異なるのであれば、正すべきものは正して明らかにするべきでしょう」

 一方、尹前代表は「保守団体の疑惑提起は事実無根であり、この判決を歓迎する」とし、「全貌が残らず明らかになることを望むだけ」(「民衆の声」5月12日)とコメントしている。

 訪韓した林外相の動静は韓国メディアでも関心が高く、尹大統領へ「関係発展には元徴用工問題など日韓間の懸案解決が必要」と伝えたことなどが報じられている。

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退任した文在寅前大統領 ©getty

日本に対する韓国の動きに、「信用できない」という声も

 現在、日韓の最大の懸案事項といわれる「元徴用工問題」は、この秋にも被告となっている日本企業の韓国内の資産が現金化されるのではないかと見られ、林外相は「スピード感を持って対応していく」と話している。

 韓国では日韓の企業が寄付金、信託金のような形で財団を設立する法案が国会に提出されていたが、前出の中道系紙記者は、「ねじれ国会では法案を成立させるのは厳しいだろう」と話す。現在、韓国国会は300議席のうち野党「共に民主党」が180議席近くを占める超ねじれ国会だ。こんな事情から、韓国では立法化とは関係のない方法を探すべきだという声も出始めている。

 5月11日、尹大統領は韓国を訪問していた日本議員団との席で、来月初めにも金浦・羽田間の運航再開に向けて準備することを伝えた。再開されれば、運航は2020年3月に中断されてから2年3カ月ぶり。日本と韓国はぐっと近くなる。韓国は入国前のPCRあるいは抗原検査(5月23日~)での陰性証明とワクチン接種証明書を保持する日本からの入国者については隔離が免除されており、日本政府にも同様の条件で韓国人の日本入国後の隔離の免除を求めたという。

 まるで舞台が反転したかのような日本に対する韓国の動きに「信用できない」という声も日本にはあるが、日本とてこのまま韓国との関係が悪化したままではいられないのが現実だ。 

 ただ、歴代大統領の中でも52%という低支持率でスタートした尹大統領が韓国世論をどう説得していくのか。「今回の岸田首相からの親書のような、日本からの尹大統領を応援するメッセージが必要」と前出記者は言う。

 韓国では来月6月1日に大統領選挙の第二ラウンドといわれる統一地方選挙と国会議員補欠選挙が行われる。この選挙の勝敗いかんが日本との関係改善を含めた今後の尹大統領の国政運営を占うことになる。