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韓国が日本の信頼を失った「慰安婦合意」破棄、その経緯にウソはあったのか? “ある裁判”が注目を集める理由

2022/05/14

genre : ニュース, 国際

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 2021年2月、一審判決では原告が一部勝訴となり、国益を損なうような箇所を除いた情報の一部を公開することが言い渡された。しかし、当時、文政権での外交部は「情報が公開された場合、国家の重大な利益を著しく損なう憂慮があると認められる」として控訴。

 その控訴審の判決が5月11日にあったが、判決内容は「一審判決維持」となり、尹前代表と外交部の面談記録の一部を公開することが再び言い渡された。

元慰安婦が暴露した「カネ」の疑惑に注目が

 実は尹前代表が「慰安婦合意」前に外交部担当者から内容を伝えられていたという話はかねてから囁かれていたが、文在寅前政権で立ち上げられた「慰安婦被害者問題に対する2015年韓日合意検討タクスフォース」では「合意が出るまでの被害者とのコミュニケーションがかなり不足していた」という結論が出ていた。

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 しかし、20年5月には元慰安婦の李容洙氏が記者会見を開き、尹前代表が「合意」の内容を知りながら当事者たちに伝えなかったことを証言し、再びその真偽が取り沙汰されていた。

李氏の告発について答える尹美香議員(挺身隊対策協議会の前代表) ©共同通信社

 記者会見は国会議員となった尹前代表にはその役職がふさわしくないことを訴えるためのもので、この時、尹前代表の基金不正流用疑惑も暴露した。

 これにより現在、尹前代表は「補助金管理法違反」、「地方財政法違反」、「詐欺及び準詐欺」などの8つの嫌疑で係争中だ。この問題では所属していた「共に民主党」から除名にはならなかったものの、別の不動産問題で除名され、現在は無所属となっている。

韓国が、日本政府から信頼を失った決定的な瞬間

 前出のキム・テフン代表は言う。

「政権が交代しましたから判決を受け入れるのではないかとも思うのですが」

 尹政権下で外交部がこの判決にどう対応するのかが注目されるが、もし、双方上告せず判決が確定すれば一部の情報が公開されることになる。

 そして、その内容によっては、「慰安婦合意」を事実上破棄に導いた、前出のタクスフォースによる検証結果が“検証”される可能性もでてきた。中道系紙記者は言う。