新加入のゲレーロに託された仕事とは?
そうなると、やはり新加入のホームラン王ゲレーロは楽しみだ。なぜなら長年お世話になった「4番阿部」を終わらせる事ができるのはこの男だけだからだ。来日1年目の成績は130試合に出場して打率.279、35本塁打、86打点、OPS.896。確かに中日森繁和監督だからこそ操縦できたと言われる気まぐれOLのようなメンタル面。左翼でも三塁でも不安視される守備力といった不安点は多々ある。それでも今の巨人に35本塁打を放てるスラッガーがいるだろうか? チームで30本塁打以上を記録した打者は2013年の阿部が最後。今季はセ・リーグで唯一20本塁打以上の選手ゼロと極端な長打力不足に悩まされた。なんとかゲレーロには30発以上を放ち「阿部慎之助の時代」を終わらせてほしいものだ。
未来の話はそれからである。個人的には岡本はもちろん、16年ドラ1内野手の守備力とスピードには定評のある吉川尚輝に期待している。けど、現実的に2年目の吉川を二塁スタメンで起用するならば、しばらく攻撃面は他の選手たちでカバーしなければならない。例えば10年前、小笠原道大とアレックス・ラミレスを立て続けに補強して、その土台の上で19歳の坂本勇人をショートでフル出場させたように。だから、勝ちながら若手を育てるにはゲレーロやマギーという“2018年の土台”が必要だ。来季の巨人はヤバイ? いや本当にヤバイのは貪欲に勝つことを放棄してしまったり、この手の2年総額8億円とも報じられるゲレーロ争奪戦のようなマネーゲームに一切参加できなくなった時だと思う。
もし忘年会で会社の上司から「ゲレーロを獲って育成はどうするの?」なんて聞かれたら、巨人ファンはこう答えればいいのである。
「部長、大事なのは「補強」か「育成」のどっちかじゃない。どっちもですよ。プロ野球も会社も同じじゃないですか」と。
See you baseball freak……
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