「最初から風間さんと出会っていたら、どんだけ得点できたんだ(笑)」
――それにしても大久保さんが上げた191得点は、Jリーグで二度と破られない記録とも言われています。
大久保 今のところは(笑)。イエローカードをもらいまくってきたので、得点を取らないと、と自分にプレッシャーをかけ続けてきたのが良かったのかも。加えて、川崎フロンターレ時代の監督だった風間八宏さんに出会ったことが大きいですね。
20年間の現役生活の中でしみじみ思うのは、自分の長所を生かしてくれる監督に出会うかどうかが凄く大きい、ということです。Jリーグでプロになるくらいの選手はやっぱり上手い。でも、監督が要求するスタイルに合わせるのって凄く難しいんですよ。自分のやりたいプレーができないから。それで上手くいかず消えていった選手を何人も見てきている。本当にもったいないと思いますね。
でも風間さんは僕の特徴を最大限生かしてくれた。それまではパスを出して点も取るポジションが多かったのですが、風間さんには「そんなに走らなくていい。ゴール前に集中しろ」って。風間さんに出会ってから、一段とサッカーが楽しくなりましたね。だから、フロンターレ時代の4年間で82ゴール。カップ戦などを合わせればおよそ100ゴール。この時代に稼ぎましたね(笑)。最初から風間さんと出会っていたら、どんだけ得点できたんだ、と思ってしまいます(笑)。
――もし、大久保さんが監督だったら、大久保嘉人選手は使いやすいですか。
大久保 めちゃくちゃ使いやすいです。気性の荒い選手は実はメンタルが弱い選手が多いので、その選手に届くような言葉で言えば伝わるんですよ。そういう選手はエネルギーも高いので、そのエネルギーを消さない言い方が大事だと思う。そこは風間さんが上手かった。
今の日本人監督は自分のいうことを聞く選手じゃないと排除する傾向にある。海外は逆なんです。自分の言うことを素直に聞く選手は信用ならないというスタイルです。
いずれ僕も監督をやってみたい。そのために今、メディアに関わらせていただきながら見聞を広げているところです。
【#2では、セレッソ大阪に所属した2021年春から始めた、小学4年生だった三男、橙利(とうり)君との二人暮らしや、“主夫生活”について話を聞いた】
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