サッカー日本代表、そしてJ1歴代最多191得点を挙げた得点王として活躍し、2021年12月に現役引退した大久保嘉人さん(39)。アテネ五輪、W杯南アフリカ大会、ブラジル大会などにも出場した一方、イエローカードもJ1歴代最多の104枚で、激しいプレースタイルが持ち味だった。現役時代のプレースタイルの理由、指導者としての今後について聞いた。(全3回の1回目。#2、#3を読む)
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多忙でも毎日が新鮮で楽しい
――お忙しそうですね。
大久保 お陰様で(笑)。昨年12月に20年間の現役生活に終止符を打ったんですけど、のんびりできたのはほんの数日で、ほぼ毎日テレビやメディアの仕事が入っていますね。このゴールデンウイークも休めたのは1日だけ。家族と思いっきり遊んできました。
そんなに休みなく働いてストレスが溜まらないの、とよく聞かれるんですけど、毎日が新鮮で楽しくて……(笑)。これまでサッカーの世界しか知らなかったので、どれもこれも今まで経験したことがないものばかりだから、面白くて仕方ないんですよ。
特にテレビの世界には興味津々です。スタッフさんの苦労が身に染みて分かった。彼らは寝ていないんじゃないかと出演するたびに思いますね。今まではソファーに寝転がってテレビを見ていたけど、製作者の苦労を知った今、姿勢を正して観るようになりました。
――瞬発力が求められるテレビで、戸惑うことはありませんか。
大久保 僕はスポーツ番組かバラエティの出演が多いんですけど、どちらもめっちゃ面白い。スポーツ番組では他競技選手のインタビューが多いので、選手の素顔や本音を引き出そうと考えますが、言葉の選び方が本当に難しい。取材する側の大変さを感じつつ、自分が現役時代に取材陣に対しちゃんと話していなかったと反省することしきりです。
バラエティ番組は自分の性格に合っているかな(笑)。僕の地を出して欲しいのか「カンペは出しません」とか言われちゃう。別に面白いことを言っているつもりはないけど、ぶっきらぼうな物言いが受けるのか、何か喋るたびに笑ってもらえるので、素のままで突き進んでいきます(笑)。
「現役時代の“気性の荒い大久保”は演技だったんですよ」
――テレながらテレビに出演している大久保さんを拝見する限り、ピッチですぐにキレ、イエローカードをもらいまくっていた選手と同一人物には見えません。
大久保 実は現役時代の“気性の荒い大久保”は演技だったんですよ。今の穏やかでシャイな自分が本来の大久保です(笑)。