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「リストラ目的」で行われるブラック研修も

 一方、新人以外を対象にしたブラック研修は、ずばりリストラを目的に行われています。複数の人事担当者が、「正社員の解雇が難しい日本では、ブラック研修でリストラを進めるしかない」と打ち明けてくれました。

「かつて当社では、成績不良社員や問題社員を追い出し部屋(社員を他の社員から隔離された環境に追いやり、草むしりのような単純作業に従事させて退職に追い込む)でリストラしていました。しかし、コンプライアンスがうるさくなって、追い出し部屋は廃止になり、代わって研修を活用するようになりました。研修の場合、外部の研修会社が汚れ役をやってくれるので、追い出し部屋と違って訴訟リスクが少ないのがメリットです」(素材・人事担当)

「当社では、セカンドキャリア研修と早期退職の募集をセットで運用しています。研修の中では、強く退職を勧めることもありますが、参加者は一応納得して早期退職に応募しています。肩たたきや追い出し部屋と比べたら、はるかに穏便で合理的なやり方だと思いますが、違いますか」(建設・人事担当)

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新人へのブラック研修は減る一方で…

 では、今後ブラック研修はどうなるのでしょうか。新人研修については、ブラック研修が減少していくという予想が聞かれました。

「最近の新人を見ていると、納得すれば自らどんどん学びますが、納得しないとどんなに𠮟咤激励しても学びません。厳しい研修をすれば人が育つというわけでもなく、ブラック研修は時代に合わなくなっています」(部品・人事担当)

「ブラック研修の実態が社員からSNSで拡散し、採用で不利になるという懸念があります。厳しい研修で新人をしっかり育てたいという気持ちは山々ですが、大っぴらにやるのは難しいでしょう」(不動産・人事担当)

 一方、新人以外については、ブラック研修を利用したリストラが「なくならない」「むしろ増える」という予想が聞かれました。

「将来、解雇の金銭解決制度が導入されたら話は別ですが、そうでない限りリストラの手段としてブラック研修は必要です。ただ、訴訟リスクや風評リスクもあるので、あからさまなブラック研修は減り、巧妙なやり方に変わっていくと予想します」(サービス・人事担当)

「日本では、社員を解雇しない代わりに、全国どこにでも転勤してもらいます、という仕組みです。最近、社員の転勤を廃止する大企業が出始めていますが、転勤がなくなったら不採算部門に所属する社員をどうリストラするかが、大きな課題になります。転勤もさせられない、追い出し部屋は論外となると、ますます“追い出し研修”の役割が重要になってくるのではないでしょうか」(輸送機・人事担当)

 ブラック研修は、コンプライアンス違反というだけでなく、社員の人権問題。新人研修がちゃんとホワイトになるのか、リストラを目的にしたブラック研修を減らすことができるのか、今後の動向に大いに注目しましょう。