「最初に謝るのは必ず畑の方ですけどね(笑)」
――雀荘に妻を置いていくムツゴロウさん、さすがすぎます(笑)。2人だけのときはどういった関係性なんでしょう?
純子 畑は仕事でも何でも没頭するので、集中したらそのことだけになってしまう人。若い頃には年末の12月28日に麻雀へ行ったっきり、1月7日まで帰って来ないこともありましたね。いつものことですし、いつか帰ってくることはわかってましたけどね。
ムツゴロウ 友人が新しい雀荘を作ったというので行ってみたら面白くなっちゃってね。でもあの時は家に帰ったら「この野郎おまえ」ってあなた啖呵切ってたよ(笑)。ほとんど怒っているところは見たことがないんですけど、あの時は珍しく怒られました。
――(笑)。お2人はお互いになんと呼び合っているんですか?
純子 若い頃は名前で呼ばれたことはなかったような気がします。最近はときどき“純子さん”って呼んでくれるんですよ。私の方は“あなた”と呼んでいます。実は私はずっと敬語なんですよ。喧嘩すると、最初に謝るのは必ず畑の方ですけどね(笑)。
借金を背負った時にも手放さなかったイエローダイヤの指輪
――喧嘩の理由はどんなことなんでしょう。お金の問題などがぱっと思いつきますが。
純子 畑の金銭感覚について気になったことはありませんね。ただ、新婚時代はさすがに苦労した思い出があります。アパートの共同台所でシジミを調理していたら、隣に住んでいた女性に「お宅はしじみを食べるの? ふつうは出汁を取るだけよ」って笑われたことがありました。それを畑に話したら「コノヤロー!」っていうことになって、バイト代が入った日に2人で大きいステーキ肉を2枚買って、隣の女性が共同台所に来るタイミングを見計らって、目の前でステーキを焼いてやりましたよ。「今だ、行けー!」なんて言って(笑)。
ムツゴロウ あったあった(笑)。結婚する時にこの人の父親が僕に上下の背広を作ってくれたんですけど、僕らは貧乏でしょ。何するにも生活するお金がなくて、アパートの隣にあった質屋に泣く泣くその背広を持って行ったんですが、お金が用意できなくて流れてしまったこともありました。あれは本当に申し訳なかったですね……。
――その後も数億円を稼いで知人に大金を配ってしまうような時期があったと思えば、2004年には東京ムツゴロウ王国の経営破たんで3億円の借金を抱えたりと波乱万丈です。
純子 借金はもちろん大変でしたけど、借金ができてしまった事実から逃げ出すわけにはいかないから、悔やんでも仕方がないと当時から思っていました。私が老後のために貯めておいたお金も、すべて返済に当てました。畑も執筆や講演会などで休まず働いてくれて、なんとかここまで頑張ってきました。
――純子さん自身がよくお金を使うジャンルなどもあるんですか?
純子 自分で使うことはほとんどありませんが、30年以上前に畑に買ってもらったイエローダイヤはかなり値段がしました。結婚指輪もなかったので、これをもらった時は嬉しかったですね。借金を抱えた時もなんとか手放さずにすんで、今でもつけている宝物です。
ムツゴロウ 僕は野生動物と会いに世界中へ行って、生き残って帰ってこられたら記念に物を買うことにしてるんです。この指輪もアフリカから無事に帰った記念に贈ったものですね。