ムツゴロウさんと中学の同期生として出会い、それ以来70年にわたって一緒に過ごしてきた妻・純子さん。ムツゴロウさんの奔放さは有名だが、話を聞いていくうちに、純子さんの中にも“珍獣”性があることが徐々に明らかになってきた。
ムツゴロウ 僕も変わり者とよく言われたものですが、女房も変わっていましてね。映画の「子猫物語」が大ヒットした1986年頃に僕が何億って稼いだ年があって、そうすると「お金を貸してください」という人がやっぱり訪ねて来るんです。話を聞くと僕は助けてあげたくなって、「お前はこれだけ持ってけ」「お前はこれだけだ」って大金でもすぐにあげちゃったの。でもよく考えたら、それを見ていた女房は何も言わなかったんですよ。
純子 畑が一生懸命働いて稼いだお金ですからね。あと実は、私も知り合いに「いくらかなんとかしてもらえないか」と言われて、あげちゃったことがあって(笑)。そのお金でその人が生活できるようになるんだったら、と思ったんですよね。
ムツゴロウ タバコもね、今では女房の方が僕より吸いますよ。僕は原稿を書く時に増えるけど、女房はずっと変わらないから。
純子 結婚してから畑に「これからの女性はタバコくらい吸わなきゃ」と勧められて覚えましたね。それをすぐに受け入れてしまうのが私のダメなところ(笑)。妊娠中は止めていましたが、今は1日1箱半くらい吸いますよ。
「ちょっと女房と遊んでやってください」と雀荘に置いていかれて…
――純子さんは若い頃に結核を患われていますが、肺などは大丈夫なんですか……?
純子 畑は私の結核の再発を心配して「仕事なんてしなくていい」と大事にしてもらったんですが、そういえばタバコは勧められましたね(笑)。
――他にもムツゴロウさんに影響されたなと思うことはありますか?
純子 畑が楽しそうに麻雀しているのを見ているうちに私もやってみたくなって、自分で覚えて近所の友人に畑も交えて毎晩のように麻雀をしていた時期があります。畑の知り合いがやっていた東京の雀荘で「ちょっと女房と遊んでやってください」と私だけが置いていかれたこともありましたけど、その時だって勝ちましたよ。パチンコも競馬もやりましたし、無人島にいた頃は娘と3人で花札もやりました。人生ですから、多少の楽しみがあってもいいじゃないですか。