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『あぶない刑事』と横浜スタジアムの深い関係

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2017/12/19

再び「最新型」に生まれ変わる横浜スタジアム

 いつしかスタジアムで過ごす時間が好きになった。開門時に流れる『ロッキーのテーマ』と共にダッシュで席を確保する。場内BGMは細川たかしによるセ・リーグ応援歌の『燃えろ若き星』。スタメンが発表され、ひとしきり応援歌を歌ったら焼きそばとメローイエローを買いに行く。試合が緊迫したり、大洋が勝っていれば最後まで同じ席で応援するが、飽きる展開になるとスコアボード裏の通路を通ってレフト席へ移動する。確か1989年頃まではレフト、ライトの行き来が自由だったのだ。レフト席ではビクトロン演奏ブースのお姉さんを眺めたり、相手チームの応援団を遠巻きに見物した。

 思えば10歳から13歳あたりの時期、横浜スタジアムという場は初めて肌で感じる広く大きな世界だった。そこでは野球のプロが真剣に勝ち負けを競い、スタンドでは大勢の大人がそれを応援したりけなしたりしている。長い法被を着たヤンキー応援団が踊り、時には殴り合っている。厚化粧の女性を従えてひたすら呑んでいるお爺ちゃんもいるし、あまり売れなさそうなブーテキを吹きながらスタンドを練り歩く売り子のオジサンもいる。そんな中で親と離れ、メガホンを叩き、焼きそばを食べて過ごす3~4時間。それは、単に野球を観に行く以上の意味がある時間だった。そして『あぶ刑事』もまた、子供の自分に大人の世界や格好良さ、スタジアムを含めた横浜の街の魅力を感じさせてくれるドラマだった。

 そんな横浜スタジアムは開場から40年を迎え、本格的な増築工事が始まっている。完成予想図によるとライト、レフトにスタンドが増設され、収容人数は3万5千人になるという。美しかった円形のフォルムは失われるけど、再び横浜スタジアムが「最新型」に生まれ変わるのだ。そして席が増えた分、かつての筆者のようなチビッ子達の訪れる機会が増えるならば、それが一番意義のあることじゃないだろうか。今のベイスターズは本当に魅力的なチームになったのだから、なおさらだ。

 春から始まったTVKの『あぶない刑事』の再放送は、12月19日に最終回を迎える。しかしさすがは地元局。その翌日、20日からは続編となる『もっとあぶない刑事』の再放送がスタートする。再開発前のどこかうらぶれた横浜の風景と、最新型だった頃の横浜スタジアムを地上波で楽しめる日々は、もう少しの間続きそうである。

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