凶悪事件が続発していた「6代目山口組」vs「神戸山口組」
6代目山口組と神戸山口組は、当初こそにらみ合いのような状態を続けていたが、2016年2月に福井県敦賀市で起きた神戸山口組正木組の事務所への発砲事件をきっかけに、連日のように事件が続発。双方の幹部への襲撃などのほか事務所への発砲、車両突入などが繰り返された。
2019年秋になると凶悪事件が続発した。同年10月には神戸山口組系山健組の組員2人が一度に射殺され、翌11月には神戸山口組幹部が自動小銃で十数発の銃弾を浴びて殺害された。残忍な殺人事件の発生で緊張状態はピークとなったが、逮捕されたのはいずれも6代目山口組系の組員や元組員たちだった。
こうした凶悪事件の続発を踏まえて2020年1月、6代目山口組と神戸山口組の双方を強力に規制するため、兵庫県など6府県の公安委員会は暴力団対策法に基づいて両組を特定抗争指定暴力団とした。警戒区域は6代目山口組の本部がある神戸市や、同組の中核組織である弘道会の本部がある名古屋市、双方の傘下組織が多くの拠点を構える大阪市など、当初は6府県の10市が設定された。その後は事件の発生のたびに警戒区域が拡大してきた経緯があった。
ヤクザの抗争で誰かの手を借りることはないはず
結果的に入江の自宅に車両で突入した男は半グレではなく、6代目山口組弘道会の構成員である可能性が高いことが判明したが、別の暴力団幹部はこう事情を解説する。
「当初は半グレが事件を起こしたということだったが、ヤクザのケンカを半グレにやらせたとなれば、これは業界だけでなく世間からも『どうしたことか』という目で見られる。ヤクザの抗争で誰かの手を借りることはないはずだ。抗争は自分たちでやるべきもの。助っ人にやってもらったとなったら、軽く見られる。
だから自分は今回も実行犯は半グレではないはずだと思っていた。他にも拳銃を使った手際のよい事件が起きると『雇われた外国人ヒットマンがやったのではないか?』ということもよく言われるが、自分は同じ理由からそのようなことはないと考えている」
複雑さを増す半グレとヤクザの関係性。果たして今後はどうなっていくのだろうか?(敬称略、一部の名称は当時)