“特定抗争指定暴力団”に指定された「6代目山口組」と「神戸山口組」
車両突入で逮捕された男はかつて、対立する半グレが経営していたガールズバーを襲撃したとして、暴行と凶器準備集合などの疑いで大阪府警に逮捕されたことがあった。今後は事件の実行について、6代目山口組からの指示の有無などについて捜査が続けられることになる。
時間が経過するにつれて、実行犯の人物像は明らかになってきたが、事件発生直後には前述のように「半グレ」をキーワードにさまざまな憶測が飛び交った。
当初、首都圏で活動している指定暴力団の古参幹部は「もし6代目(山口組)側が半グレを使ったとなれば、それなりにワケがありそうだ」と指摘していた。
この古参幹部の言及した「それなりのワケ」というのは、6代目山口組と神戸山口組の双方が、暴力団対策法に基づいて、特定抗争指定暴力団に指定されていることを指す。
特定抗争指定暴力団とは、対立状態となった指定暴力団の間で敵対する相手側に暴力が行使され、それに対する報復や暴力が繰り返されることで一般市民に危害が加えられる恐れがある場合に都道府県公安委員会によって指定される。
一方で……“半グレ”は規制の対象外
指定されると公安委員会が3カ月間を期限として、期間と警戒区域を設定する。そして、「暴力団事務所への立ち入り」「対立する暴力団事務所や、その組員の居宅付近をうろつく」「同じ暴力団組員がおおむね5人以上で集まる」などが禁止される。こうした行為が発覚した場合には、中止命令などの行政手続きを経ずに即座に逮捕される“直罰規定”となっている。
こうした暴対法の規定を踏まえ、前出の古参幹部は解説する。
「6代目(山口組)と神戸(山口組)の双方は、特定抗争指定を受けている。このため、双方の現役の組員であれば警戒区域で(おおむね)5人以上で集まったら、すぐに逮捕される。対立するヤクザの事務所や自宅周辺をうろつくだけでもすぐに逮捕だ。ところが、半グレであればこうした規制の対象外。実質的にやりたい放題ということだ」