パズルと言えば「ひとりで静かに楽しむ趣味」というイメージが強いと思いますが、最近のパズルに関する動きを追うと、何人かで集まって楽しんだり、解き方を教えあったりするものが増えています。今や世界的な広がりを見せているリアル型脱出ゲームは、前者を象徴するものと言えるでしょう。多くの娯楽が、個人で、そしてバーチャル空間で楽しむものになっていく中で、パズルが集団で、そしてライブで楽しむ方向に広がりを見せていることは、たいへん興味深いことだと言えます。今後も、コミュニケーションツールとしてのパズルの価値が高まっていくと思われます。

パズルは世界中でブームが続く

高齢者に数独が大ブーム 岩手県大槌町で「数独認定試験」開催

「数独」は、ニコリが命名して世界中に広まったパズルで、日本でも2006年の流行語大賞にノミネートされたほどですが、その世界的流行から10年以上経った今、新しい動きが出てきています。それが、今年の9月9日に岩手県大槌町で行われた「数独認定試験」です。

 2011年の東日本大震災で津波の被害を受けた岩手県大槌町で、高齢者の自立支援活動を行っていたNPO法人「ソーシャルハーツ」が、生涯学習の教材としてなぞなぞやまちがい探しパズルなどを試していたところ、3年前から始めた数独教室が高齢者たちにウケたのがそもそものきっかけ。鉛筆を持って考えるところが認知症予防になりそうだということで、数独教室で熱心にメモを取る高齢者の姿が増えたそうです。

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第1回の「数独認定試験」が大槌町で開催

『じぃじとばぁば ようこそ数独!』

 そのことを知った「日本数独協会」の監修で、今年4月に高齢者も楽しめる数独の入門書『じぃじとばぁば ようこそ数独!』をニコリが発行。東北地方のマスコミなどで取り上げられて注目度が上がり、9月に日本数独協会主催で第1回の「数独認定試験」が大槌町で開催されました。当日は100人以上が会場に集まり、6歳から99歳までの幅広い年齢層の方が参加しました。

 数独ではこの他にも、地元の愛好者が集まって数独教室を行う動きもあるようで、私安福も、今年1月から東京・町田のNHK文化センターで数独講座を行っています。数独も、みんなで楽しむ時代が来た、と言えるでしょう。