文春オンライン

池袋や大塚で“大量供給”されたワンルーム投資の残酷な“末路”

2022/05/31
note

出口を失ったワンルームマンション

 さらにやっかいなのは、彼らの節税対策には期限があるということだ。サラリーマンであるからには、いつまでも高給が保証されているわけではない。役職定年などを迎えると、給料は従来の6、7割、会社によっては半分以下に自動的に下げられてしまう。そうなると、せっかく不動産所得の赤字が作れても、控除する給与所得が少なくなってしまえば節税効果など雲散霧消してしまう。これでは何のために節税対策をしたのか目的をも失ってしまう。

 現在こうした出口を失ったワンルームマンションが大量に滞留している。それにもかかわらず、相変わらず大量のワンルームマンションが供給されている。中にはローンが返済できなくなる、管理費、修繕維持積立金の滞納、未納の事例が頻発しているマンションも多くなっている。

 では新しいワンルームマンションなら大丈夫かといえばそうではない。最近、都内で続々竣工している賃貸ワンルームマンションの多くがテナント付けで苦戦が目立つようになっている。若い人が集まらないのだ。都内に転入する人口の激減と若い年代の人口そのものが減少しているのがその背景だ。

ADVERTISEMENT

 実は都心部におけるマンションのスラム化について、私は意外と遠くない未来、この取り残されたワンルームマンションから始まる気がしている。この所有者の間で相続が頻発する未来は、相続登記をしない、管理組合には届け出ない、管理費は払わない、大規模修繕などに応じない、いつのまにか外国人に売られていた、様々な事象が勃発することだろう。

 節税だけが目的の不動産投資の未来は暗いのだ。

池袋や大塚で“大量供給”されたワンルーム投資の残酷な“末路”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー