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「核武力完成」を宣言した北朝鮮 なぜ経済制裁は無意味なのか?

残る選択肢は2つ。対話か、それとも軍事衝突か。

2017/12/23

 2012年は金日成生誕100周年にあたり、金正恩は4月に続いてさらなる発射実験をするものと見られていた。結局、人工衛星と称してミサイル発射実験が行われたのは、米国の大統領選が終わった翌月の12月12日だった。

「再選したオバマ前米大統領は、このミサイル発射実験は国連安保理の制裁決議違反としてそれまで以上の強力な制裁決議を推し進めました。金正恩としては再選に協力してやったのに恩を仇で返されたという思いがあると言われています」(同前)

 しかし、この一連のやりとりから、米国では「金正恩は話せばわかる相手だと見られている」(同)ともいう。

北朝鮮の市場は活気づいている

 日本は、ティラーソンの最初の「無条件対話」発言には応じず、安倍首相は「最大限度まで圧力を強める方針に変わりはない」と引き続き強固な態度を堅持した。

 しかし、「制裁はもうまったく意味がない」と韓国の北朝鮮経済の専門家はみる。

「対北制裁の究極の目的は非核化です。それが達成できなければ制裁する意味はない。

 北朝鮮経済の確実なデータがありませんが、ここ数年悪くないといわれています。一般国民の生活の糧となる市場は金正日時代に許されて、金正恩時代にはさらに活用されている。衛星からは市場が把握できますが、その数は400個以上が認められています。そして、例えば昔100坪程度だった市場が今では500坪くらいと、その規模は膨らんで活気づいている。

 金正恩の内政上の目下の悩みは、市場をこのまま放置するかどうかでしょう。

 おそらくここ数年のうちに改革開放を決断するか、体制維持のために国民を引き締めるか二者択一を迫られることになる」

 そういえば、プーチン露大統領も「北朝鮮は草の根を食べても核は手放さない」と発言している。

11月29日、北朝鮮のミサイル発射のニュースを見つめるソウル市民 ©getty

 また、韓国では韓国銀行が毎年、北朝鮮の経済成長率を発表しているが、2016年は3.9%のプラス成長と発表されてもいる。昨年から制裁は続いていて、前年はマイナス1.1%の経済成長率だったこともあり、韓国ではなぜ飛躍的にプラスに転じたのかと疑問が広がったが、ある別の北朝鮮専門家は、「北朝鮮がプラス成長だと困るので数字が調整されていたという話です」と苦笑していた。

 制裁に効果がないとすれば、残る選択肢は2つ。

 対話か、軍事衝突かだ。

 米CIAが示したレッドラインの3月が迫っている。

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