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「ただ黙々と男とセックス」「家賃20万以上の池袋タワマン住み」木嶋佳苗死刑囚の“性とお金に狂った”半生

『ルポ池袋 アンダーワールド』より #1

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複数の男たちに貢がせ、月収は150万円

 木嶋は19歳から逮捕される34歳まで、婚活サイトやデートクラブなどを利用し、複数の男とつきあい金銭を得る。一時期はソープランドで働いていたという情報もある。

 本名ではなく「吉川桜」と名乗っており、「桜の欲求不満日記」「ぽっちゃりソープ嬢さくらのブログ☆出勤は謎☆」、そしてネットのウォッチャーたちに逮捕以前から注目されていた「かなえキッチン」などと、複数のブログを頻繁に更新していた。

 ただ黙々と男とセックスして金銭を得るだけではなく、木嶋は自己顕示欲も旺盛で、発信せずにはいられなかった。セレブな私、男性たちに愛される私の姿を見てくれと言わんばかりに。

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 木嶋は目黒区から板橋区、池袋と住まいを移しているが、住処にする十数年前、最初に自らの意志で足を運んだのは池袋のデートクラブだった。

 なぜ池袋だったかというと、「渋谷は近すぎる。新宿は恐い。池袋の雑多な雰囲気と距離感がよかった」と自伝にある。

 池袋を根城にしていたのは、便利だったのもあるだろう。駅近くに食事をする場所も多く、ラブホテルが近い。

写真はイメージです ©iStock.com

 池袋のデートクラブは、死者が8人出た1999年の池袋東口の通り魔殺人事件を機にやめたと自伝に記しているが、結局その後も男をおびき寄せる場として池袋を使っている。

 木嶋は知り合った男と、まず四川飯店など池袋東武のレストランで食事をし、西口か北口のラブホテルに向かう。池袋のメトロポリタンに男と泊まることもあり、そこで男に薬を飲ませ昏睡させた。のちに殺した別の男と、池袋西口の交番前で待ち合わせ、そのまま西口のラブホテルに行くなどもした。

 木嶋は池袋のカルチャースクールにも通った。新国立劇場でのオペラ鑑賞会、歌舞伎座での歌舞伎鑑賞会、假屋崎省吾の花レッスン、落語鑑賞会、能楽鑑賞会、鶴屋吉信の京菓子入門、東儀秀樹の雅楽サロン、万葉集と源氏物語の研究会、陶芸、短歌、詩集、写真、料理やお菓子講座など、30以上の講座を受講したとブログに誇らしげに書いてある。

 まるで貴族のような暮らしっぷりだ。2000円のバターなど、食べ物にもたっぷりとお金をかけている。親元を離れて東京でひとり暮らしをする30代の女で、そこまでの時間も金銭的な余裕もある女が、どれほどいるだろうか。

 木嶋の月収は、150万円あったという。複数の男たちに貢がせた金だ。普通の女が、月に150万円を稼ごうとしたら、どれだけ大変なのか。いや、無理だ。たとえ風俗の仕事に就いても、よっぽど人気がないと難しい。

 女たちは、必死に美しくなろうと努力をし我慢を重ねて生きている。プールで泳ぎ、ジムで汗を流し、ウォーキングをし、ヨガをして、美容院に通い、化粧品を買い、美容整形もする。美しくなることは、どれだけ金が必要なのだろうと、年を取るごとに思う。美は金で買える。

 どうしてそこまで美しくあろうとするのか。男の気を惹くためにだと考えるのは、単純すぎる。自分を愛するために、美しくあり続けようとする。自分の価値を高めるために。

 けれど木嶋は、そんな努力などしなかった。好きなだけ食べて身体は膨れ上がっている。ダイエットも化粧もしない。男に愛されるから、自分を愛するために美しくなる必要などないのだ。そうして木嶋は働かずして高収入を得て、貴族のような暮らしをしていた。

 デートクラブをやめても、婚活サイト以外でも「全日本愛人不倫クラブ」「ぽっちゃり系サイト」「妊婦専門サイト」などで男と出会っていた。セックスした男性に「妻にばらす」と脅したり、妊娠したと言い中絶費用を求めたり、あらゆる手段で男たちからお金を搾取していた。

ルポ池袋 アンダーワールド

中村 淳彦 ,花房 観音

大洋図書

2022年5月20日 発売

「ただ黙々と男とセックス」「家賃20万以上の池袋タワマン住み」木嶋佳苗死刑囚の“性とお金に狂った”半生

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