50歳でホタテビキニをまとった自身の姿を捉えたセルフポートレートで注目された、写真家のマキエマキ(56)。 

 49歳でセーラー服姿の自撮り写真を撮ったのを皮切りに、“昭和”や“場末”をテーマにしたエロスとユーモアに満ちた作品を放ち続けている。 

 大阪での個展「マキエ式」を控える彼女に、セルフポートレートを撮るにいたった経緯、その裏にあった女性ならではの背景、作家として活動する中で向けられる勘違いやセクハラなどについて、話を聞いた。 (全2回の1回目/2回目を読む)

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マキエマキさん

◆ ◆ ◆

「セーラー服の自撮り」が始まりだった

ーーセルフポートレートを撮るようになったきっかけを教えて下さい。 

マキエマキ(以下、マキエ) 2015年、私が49歳の時なんですけど。行きつけのバーの常連さんたちと「みんなでセーラー服を着て飲んだら面白いよね」という話をしてて。ほんと内輪だけの小さい飲み会のためにセーラー服を買ったんですけど、それを着てスマホで自撮りしたものをFacebookにあげたら、すごく食いつきが良かったんですよ。 

 顔を写さない“顔切り”で撮ったんですけど、そうしたら「モデルさんですか?」といったコメントがついて、「ひょっとしたら、私ってまだイケる?」って思っちゃったんですね(笑)。調子に乗って仕事で使っているカメラで、顔出しのセルフポートレートを撮り出して。それをあげていったら、だんだんと広がってっちゃったという感じです。 

後年撮り直したという「セーラー服」姿(マキエマキさん提供)

ーーセーラー服の次は、どのような衣装を。

マキエ ホタテビキニです。セーラー服より面白いのって、ホタテビキニかなと思って。武田久美子さんのあれを見た時から、「これって、乙女の夢だよね」っていう感じはありました。 

ーー一気に超えますね。さすがに、ドンキのコスプレ衣装コーナーとかでもホタテビキニは売っていない気がしますが。 

マキエ 自作です。ディスプレイ用のホタテの貝殻を買って、貝殻に穴を開けて、パールビーズを通しました。電動の、ガラス彫刻用のツールを使って開けたんですけど、絶対に失敗できないなと慎重にやりましたね。 

「マキエマキ」としての初の作品(マキエマキさん提供)

ーーホタテビキニはバズりましたか。 

マキエ 最初はFacebookに載せただけだったので、内輪とその知人の知人ぐらいが「面白いね」みたいなことを言うくらいで。バズったのは、その後、グループ展に出してからです。