〈あらすじ〉
メキシコでは広がり続ける貧富の格差に対し、抗議運動が激化していた。裕福なノベロ家では、25歳の娘マリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)の結婚パーティーが開かれ、政財界の名士たちが豪邸に集っていた。マリアンが急用で外出したタイミングで暴徒たちがノベロ家に押し入り、略奪と殺戮を繰り広げ、華やかな宴は地獄絵図へと一変する。軍部が武力で暴動を鎮圧すると、新体制の名の下に法や秩序が崩壊し、戒厳令により市民は通信手段や外出、移動の自由を奪われる。運よく難を逃れたはずのマリアンだったが、軍人に身代金目的で誘拐され、監禁されてしまう。
〈解説〉
『母という名の女』に続くミシェル・フランコの脚本・監督作。経済格差がもたらす社会的危機をディストピアとして描くスリラー作品。第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員大賞)受賞。86分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆不快感と怒りで観るのをやめたくなったのだが、やがて、強い批評性を持った映画だと気づかされた。人間らしさって?!
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆ブニュエルの怪作を意識した憤怒と挑発力はよく伝わる。ただ脚本が甘く、肝心なところで子供っぽさが漏れ出てしまう。
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斎藤綾子(作家)
★☆☆☆☆管理するも強奪するも殺戮は日常。リアルだからこそ今鑑賞する必要があるのか。この残忍さに見る価値は見いだせず。
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森直人(映画評論家)
★★★★★人間のエグさをシステムの循環ごと容赦なく描く。シンプルに濃縮された阿鼻叫喚の地獄。この残酷もひとつの普遍性だ。
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洞口依子(女優)
★★★★★『パラサイト』よりもメキシコの格差社会に容赦なく斬り込む。手持ち撮影と静止画を巧みに扱い人種も混沌も炙り出す。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『ニューオーダー』(メキシコ、仏)
6月4日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか順次公開
https://klockworx-v.com/neworder/