「息子が子供に暴力を振るうことはありえないと思っていますが、真実はわかりません…」
埼玉県春日部市で昨年12月29日に起きた3歳児虐待放置事件。母親らが暴行を加えたうえ、その後も適切な処置を行わなかったために女児が亡くなったという痛ましい事件だった。
埼玉県警は昨年12月30日に、3歳の次女・沙季ちゃんの顔を手で殴るなどの暴行を加えたとして、母親の長野奈々容疑者(31)と、事件当時同居していた交際相手のA氏(37)を逮捕。事件から約半年後の今年5月31日には、両足を骨折させたまま沙季ちゃんを自宅に放置したとして、長野容疑者を保護責任者遺棄の疑いで再逮捕した。
冒頭のコメントを述べたのは、A氏の父親だ。
社会部記者が語る。
「当時カラオケ店員だった長野容疑者は昨年12月中旬から29日にかけて、A氏と共謀して、沙季ちゃんが両大腿骨の骨折で歩行できないと知りながら、適切な措置を行わなかった疑いがもたれています。
事件は、12月29日にA氏が沙季ちゃんを見て『呼吸の様子がおかしい』と119番通報したことで発覚しました。沙季ちゃんは意識不明の状態で病院に搬送され、その日に死亡しました。取り調べに対して長野容疑者は『骨折しているとは知らなかった』と容疑を否認し、交際相手のA氏は『しつけのつもりだった』と供述していました。2人は傷害罪で起訴されましたが、その後A氏は今年3月に春日部警察署の留置場で自死しています」
長野容疑者と交際していたA氏は元競輪選手
長野容疑者とは交際関係にあったとみられるA氏とは、どのような人物だったのだろうか。
「文春オンライン」が取材を進めると、A氏は元競輪選手として活躍していたアスリートだったことがわかった。
スポーツ紙記者が打ち明ける。
「A選手は地方の大学を卒業後、日本競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に合格して期待の新人プロ競輪選手としてデビューしました。競輪選手としては細身で小柄でしたが、トレーニングでハンディを克服して、太腿の周囲は一般女性のウエストと同じくらいの60cmを超えるほどの太さまで鍛えていた。
握力も60kg近くあり、筋力には定評がありました。しかし、デビュー後は思うように結果を残すことができず、数年で競輪選手を引退しています」