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綾瀬はるかが「もう女優を辞めていい」と思った作品とは? 月9『元彼の遺言状』で見せる“無限の可能性”

2022/06/06
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セカチュー、大河ドラマ、ぎぼむす……各年代でヒット作

 綾瀬はるかは年代ごとに代表的なヒットドラマを持つ数少ない俳優である。

 10代ではなんといっても『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年・TBS)だろう。悲劇的かつ感動的なストーリーと相まって、彼女の無垢でイノセントな佇まいと演技は、見る者に強烈なインパクトを残した。

『ホタルノヒカリ』(日本テレビ公式サイトより)

 20代では『ホタルノヒカリ』(2007年・日本テレビ)で連続ドラマ初主演を果たす。会社ではオトナの女性として振舞うが、家ではとことんだらしない“干物女”という言葉を女性からの共感と共に流行らせた。続く『JIN-仁-』(2009年/2011年・TBS)では、未来からタイムスリップした大沢たかお演じる主人公・南方仁を慕う可憐な女性・橘咲を好演。そしてついに27歳にしてNHK大河ドラマ『八重の桜』(2013年・NHK総合)で主役の座を射止めるに至る。

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 30代は、カズオ・イシグロ原作の衝撃作『わたしを離さないで』(2016年・TBS)、西島秀俊とのハードなアクションが目を見張った『奥様は、取り扱い注意』(2017年・日本テレビ)、義母とはいえ初めて母親役に挑戦した『義母と娘のブルース』(2018年・TBS)と、大河以降はだいたい年1本ペースで連続ドラマに主演。こちらも初となる刑事役を演じた昨年1月クールの『天国と地獄~サイコな2人~』(2021年・TBS)で見せた、高橋一生との“入れ替わり演技”も記憶に新しい。

『義母と娘のブルース』(TBS公式サイトより)

 ちなみに、主演を含め綾瀬が出演し、『ごちそうさん』『おんな城主 直虎』(共にNHK総合)などのヒットを持つ森下佳子が脚本を担当したドラマは『世界の中心で、愛をさけぶ』を皮切りに、実に7本にものぼる(2022年6月現在)。こうして改めて振り返ると、信頼のおける脚本家やスタッフとともに着実に足元を固めてきた彼女の道のりがうかがえる。

 年齢とともにキャリアを重ねていくと、大抵は演じる役も固まり、俳優としての成長も頭打ちになりそうだが、彼女にはそれが当てはまらない。言い換えれば、良い意味で常に真っ白で、新鮮で、どんな色にも染まれるのだ。俳優・綾瀬はるかの大きな特徴の一つと言える。