現在放送中のドラマ『元彼の遺言状』で主演を務めている綾瀬はるか。間違いなく今の日本のエンタメシーンで存在感を発揮し活躍する俳優の一人である彼女。これまでの道のりと共に、その魅力について考えてみたい。
メリハリのある演技で作品世界を牽引
『元彼の遺言状』で彼女が演じているのは、金の匂いに敏感で独立心旺盛かつアグレッシブな腕利きの弁護士・剣持麗子。ある日突然、謎の死を遂げた元彼で大手製薬会社社長の次男・森川栄治(生田斗真)が暮らしていた別荘の管理人・篠田敬太郎(大泉洋)とバディを結成。時に大胆に、時に狡猾な立ち回りでさまざまな難事件を解決していく。
現在、ドラマは最終章に突入。ミステリー作家志望である篠田自身の秘密が彼の口からついに明かされ、麗子は6年前に起きた強盗殺人事件の謎を突き止め、彼の冤罪を証明すべく立ち上がる。ストーリーは最終回に向けて猛スピードで加速中だ。
バラエティ番組で見せるおだやかな天然ぶりとは異なり、綾瀬は麗子というキャラクターを全編にわたり落ち着いたトーンで演じ、作品全体の雰囲気をしっかりとリード。かと思えば食事のシーンでは無造作かつ豪快に食べ物をほおばるなど、コントラストが絶妙だ。彼女のメリハリのある演技に、私たちはいつの間にか引き込まれていることに気づく。
推理をベースにした群集劇の場合、主人公はどうしても狂言回し的な役割を担わされるので、ともすると物語の中に埋没しがちだが、常に凜とした彼女の表情は際立っており、どこにいても必ず目を引く。まさに物語を牽引し、確固たる存在感を示しているのだ。