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河瀬直美「東京五輪の公式映画」を賞賛する人たちの共通点とは…? 待望の公開初日、私が感じた「2つの異変」

2022/06/07
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《森氏はスクリーンに入場し、階段を上ると、客席から視線を一身に浴びた。すると「みんなが見てるじゃん」と口走り、会場を笑わせた。》(5月23日)

 ああ、楽しそう。森喜朗氏だけでなく橋本聖子、山下泰裕、川淵三郎、武藤敏郎氏ら大会関係者が足を運んだとある。この場で河瀬直美総監督は「コロナ禍の五輪、歴史が証明」と堂々と語った(デイリースポーツ5月23日)。

 さらに2日後の25日夜(現地時間)、河瀬氏はカンヌ国際映画祭に出席している。

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『河瀬直美総監督の東京五輪映画、カンヌで上映…終演後は拍手浴び「戻ってこられてうれしい」』(読売新聞オンライン5月26日)

河瀬直美監督 ©文藝春秋

 いかがでしょうか。大会関係者の前では挨拶したり、カンヌに行ってまでスピーチしたりするのに、一般客が初めて入る大事な「初日」はスルー。かなり違和感がありました。

初日舞台挨拶を避けた理由は?

 さらに調べてみると個別にマスコミ取材は受けている。たとえばスポーツニッポンには、公開2日前に『河瀬直美総監督 映画「東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B」への思い』という記事があった。

 河瀬氏は「感無量です。昨年8月8日に閉会式があり、そこから編集のヤマがとても高かった。ようやく皆さんに見ていただける」と語っている。そう、こういう言葉を初日に直接聞きたかったのです。

 エライ人やマスコミには語るのに一般客の前には出てこない。こういうスタンスの映画監督って本当に不思議だ。もしかして出てくるのがイヤなのだろうか?