6月19日の日曜日、「Fビレッジ建設地見学会」に行ってきました。
Fビレッジとは一体何ぞやというと、北海道北広島市に今ファイターズが建設中の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」、のことだけではなくて、新球場の周囲にできる予定のマンションとかホテルとか商業施設とか認定こども園とか全部ひっくるめての名前なのですが、まあ要するに「建設途中の新球場見学会」があったのです。事前の申し込み不要、当日朝9時から正午までの間に現地にそのまま行けばいいだけ。一昨年から行われていて、今回は既に3回目とのことでしたが(そして来年3月には開業ですから、これが最後ですよね)、私は全くうかつにも今まで知らずにいたのでした。自分の住んでる市内のことだというのに不覚の極み。
そうなのです、北広島市に住んでもう50年(引っ越してきた時はまだ「広島町」でしたが)。当時、ファイターズとのご縁といえば、父が札幌円山球場へ年に1度の試合を観に行く時について行ったりする程度。そもそもプロ野球全12球団、どこかの遠くにいてテレビや新聞で見るもので、1996年に北海道初のプロスポーツチームとなるコンサドーレ札幌が誕生してからもその感覚は変わりませんでした。「Jリーグはチームを増やしてるけど、プロ野球は違うでしょ」という訳です。
チーム数が増えなくても本拠地移転はある。まさかファイターズが北海道にやって来て、そしてまさかまさか十数年後、今度は北広島市に球場を建て始めてしまうとは。何というか、どんどん近くに迫ってくる感じです。自分はずっと動いていないのに。
ということをえのきど監督に話したら、「この次はファイターズに家を乗っ取られるよ」と言われました。いくらファイターズでもそれは困る。
遠くの夢ではなくなった
見学会で1つだけ心配だったのが天候です。開催要項には《荒天時は中止とします。》とある。週間予報は微妙。でも「雨天」と「荒天」は違うよね。ね。夜中に雨が降ってたようだけど起きたらやんでたし大丈夫……と思ったら、バスに乗ってるうちにどんどん雨が降り出してきました。えええええ。
北広島駅前に着きました。ここからエルフィンロードと呼ばれるサイクリングロードをずっと進んで行くと、目指すFビレッジ建設現場です。傘をさして、てくてく歩き出します。かなりしっかり降ってるけど、それでもまだ「荒天」じゃないよね、中止になったりしてないよね。同じ道を行く人が何人もいます。雨の中をウォーキングという人がそうそういるとも考えにくいなあ。皆、目的地は同じかな。
歩き続けるうちに雨が小降りになってきました。よかった、傘をたためる……あ! 見えた!
道の向こう、左手に姿を現した巨大な屋根とそびえ立つクレーン。これまで何度も写真は見ています。ライブカメラの映像も。でもこれは、本物、です。ほんとのほんとに今この場で、自分の肉眼で新球場を見ている。
ここに球場を建てますと発表されてからかれこれ4年。完成予想図に目を見張り、着実に進む工事を頼もしく眺める日々ではありましたが、ただ、それが「自分の住んでいるまちのなか」で今ほんとに起きていることだという手応えは、実はなかなか持てずにいました。テレビや新聞やツイッターを通して知る事柄は、北広島でも札幌でもどこかもっと別のところでも、あまり違いはありません。遠くのことでも身近に思える一方で、近くのことも生々しさが薄くなります。情報に実感が追いつかないというか。
と思っていたある日、JRに乗っていたら、車窓の風景の中にぬっと現れたのです。立ち並ぶ巨大クレーン。窓越しで、それも動く列車の中だけど、写真でも動画でもない実物です。近い! 大きい! 思ってたのよりもずっと!
ファイターズの新球場はここにできる。他のどこでもなくこの場所で、今まさにつくってる。どこか遠くの夢の話が、目の前の現実になった瞬間でした。