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「東京ドームのホームゲーム、この目でぜんぶ見る計画」は達成できたか!? ファイターズファン、執念の記録

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/18
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 皆さんはじめまして! 東京時代からファイターズを愛し続けて34年……ナレーターの三村ロンドです。テレビのバラエティー番組等でナレーションをしています。原稿を読んだり叫んだりするのは得意ですが、原稿を書くのはそこまで得意ではありません。この度、えのきどBOSSからのオファーを受け文春野球デビューです! よろしくお願いします!

 執念……深く思い込んで、あきらめたり忘れたりしない心。

 今シーズン、BIGBOSSのもとで大活躍している今川優馬選手の合言葉だ。彼の全力プレーがファイターズを明るく元気に盛り上げている。さらにビジター球場でも、外野の守備につく際に相手ファンに笑顔で一礼する。ファイターズのみならず他のチームのファンの心も掴む愛すべき選手だ。彼の発する仲間や自身を鼓舞する「執念」という言葉。

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 僕自身も先日「執念」で取り組んだ事があった。

「東京ドームのホームゲーム、この目でぜんぶ見る計画」

 

少しでも観戦する事に執念を燃やし僕は3連戦に臨んだ

 1988年の東京ドーム完成からファイターズを愛し、北海道に本拠地が移っても変わらず応援している僕にとっての一大イベント「東京ドーム開催」。東京にいるファイターズファンは気軽に札幌ドームには行けない。そんな東京のファンの楽しみは、やはり東京ドーム開催だろう。毎年、日程発表の際には、何試合開催するのかに注目する。コロナ禍の一昨年は無かったが、例年8試合前後行われていた。しかし去年は5試合、今年はさらに減って3試合のみ。毎年、ナレーション収録の合間を縫ってでも見に行った。

 そこで僕は3月頭の「オフィシャルファンクラブ会員超先行発売」が始まったら即計画を実行! まずは全試合を抑える。この時点でナレーション収録等入るかは不明。万が一、行けない時の金銭的リスクと比較的ゆったり観戦できる事も考慮し「2階指定席」を買う。それからはスケジュールとにらめっこ。しかし、ナレーターは直前の急なオファーもある。僕の予定は所属事務所には伝えているが、もちろんクライアント最優先だ。

 そして遂に今年の「東京ドームホームゲーム」バファローズ3連戦が。すると開催1週間前、3日間ナレーション収録が被るという困った事態に。第1戦と第2戦は夜7時頃から。第3戦は午後から夜8時頃まで収録が確定した。もうフル観戦は不可能。だが少しでも観戦する事に執念を燃やし僕は3連戦に臨んだ。

 第1戦。夕方4時30分開門。夜6時の試合開始まで約90分。球場の雰囲気を出来るだけ楽しむ事にした。しかし初っ端から想定外の事態が。毎回ファンクラブブースで来場ポイントを貯めているが、この日は「ファンの宝箱」が会員に配布されるとあって特設ブースに長蛇の列が。列ぶと相当なタイムロスだ。断腸の思いでファンの宝箱も、FANSポイント獲得も断念し入場。久々の東京ドームに胸躍らせ1階コンコース散策へ。

 1階コンコースはファンクラブブースや様々なスタジアムグルメが軒を連ねる。スタジアムの雰囲気を味わえる楽しい空間だ。僕はどのスポーツ観戦もスタジアム丸ごと楽しむ。イベント、演出、スタグル、グッズ、そしてユニフォーム。

 毎回、東京ドーム開催では当時のオレンジかネイビーの縦縞ユニフォームを着るのだが、この日は去年1回も着る事ができなかった「HOKKAIDO be AMBITIOUS」ユニフォームを着用。

©三村ロンド

 周りは新ユニフォームに身を包んだ「BIGBOSS」たちでいっぱい。BIGBOSSの広告看板や等身大パネルと記念写真を撮ろうと列が。東京初戦だからか、どこも大行列。既に十数分しかない状況で、楽しみにしていた会員限定のガチャポンもスタグルも諦めた。選手紹介や、始球式等イベントも終わり、ファイターズの選手が1回の守備につく。僕も妻とハム仲間の友人たちと別れ、21番ゲートで再入場券をもらい外へ。タクシーを捕まえて収録スタジオへ向かう。

「え? お客さん、野球見ないの?」

 運転手さんが驚いていたけど、今日やれる事はやった。もちろん早く終わればカムバックだ。

 だが、この日の先発加藤。前回登板の楽天戦で90球完封“マダックス”達成。今日も試合展開が早いかもしれない。ドームの状況が気にはなるが、気持ちをしっかり切り替えるべく、以降は情報を一切シャットアウト。僕も収録中はテンポ良くマダックスナレーションを心がけた。収録を終えドームへ向かうと試合は8回表2-0でリード。先発加藤が投球を続けている。あとは勝利を掴むのみだ。

 気持ちを高めてドームに再入場すると場内に歓声が! バファローズ紅林が加藤から同点2ラン本塁打……。試合はそのまま延長戦へ。サヨナラ勝ちを期待したが、北山の牽制悪送球をきっかけに勝ち越し打を許し敗戦。執念でドームに帰還できたが、結果逆転負け。喜びの瞬間に立ち会う事は叶わなかった。

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