1ページ目から読む
2/3ページ目

2日後、長嶋監督が頭を丸刈りに……

 2日後の巨人―阪神戦で、今度はデッドボールが原因で選手同士の乱闘事件があって、その2日後に長嶋監督が頭を丸刈りにして謝罪の意を示しました。

「何らかの形でファンや関係者にお詫びしなくてはいけない」

 あの長嶋さんのそんな姿に私は驚くというより、言葉を失ってしまいました。ガルベス投手はその後、「あれは審判に投げたんじゃない。ボールボーイに返したんだ」と主張したらしいですが……。

ADVERTISEMENT

 いずれにせよ、ガルベス投手は台湾プロ野球時代や韓国プロ野球時代も、少し素行に問題があった選手のようです。私はみぞおちのところにしこりがあって、硬くなっています。それはガルベス投手の投球をまともに受けた結果です。故意とは言いませんが、どうも被害者意識が強くなっていけませんね……。

変な場面でベテラン審判になったことを実感

 私が審判駆け出しのときと野球は変わっていますが、当時は「野次るのが仕事」「声出しが戦力」といった選手やコーチ、いわゆる「野次将軍」がたくさんいました。ダグアウトの首脳陣に対してアピールするにしても元気に声を出すだけでは高が知れている。

 審判を野次るのが一番簡単なわけです。

 だからそういう意味では私が若いころはそうとう野次られました。とにかく「ストライク」と言えば野次る、「ボール」と言えば野次る。ハーフスイングと判定すれば野次る。

 もう大変でした(広島は伝統的に無意味な野次がない紳士な球団です)。

 周囲の選手には「気にしすぎですよ」と言われますが、毎日グラウンドに立って野次られいると、被害妄想が強くなります(苦笑)。それがいつのころからでしょう。

「誰だ、いまの汚い野次は!」

 そんな表情でダグアウトをにらみつけると、選手が一瞬沈黙するようになったんです。

 変なところで「ああ、オレもある程度の経験と年を重ねたんだな」と実感した次第です。