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「私は前を守るから、背後は任せた!」というセリフが違和感ない日々

 気が強いことに定評のある私なので、意外に思われるかもしれないが、私たちは長女が誕生するまで喧嘩という喧嘩をしたことがなかった。

 小さなイザコザはあったが、日をまたいで険悪になったことは、これは今でも1度もない。怒りという感情を継続させるのはパワーが必要で、私たち2人はそこにパワーを使うのは得意ではないのだ。

 長女が生まれてから、小さなイザコザは、中くらいのイザコザへと進化した。

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 1つのことを2人で共有するとなると、考え方の違いも多くなる。

 1人でやってしまう方が楽で、共有する方が面倒くさいという部分は確かにある。物事に対する許容量の違いですら、共有するとなるとストレスになり、それが多ければ多いほど、擦り合わせは難しくなる。

 スケジュールや体力に余裕がなくなったという側面も大きく、意見をぶつけ合い(私がサボって夫の堪忍袋の緒が切れるパターンが多い)、目まぐるしい毎日を消化していく。

 自分たちが選んだ道を、がむしゃらに歩み進んだ結果、いつの間にか育児において私たちは「戦友」となっていた。

「私は前を守るから、背後は任せた!」とか「ここは私が食い止めるから、その間に休んでろ!」とかバトル漫画に出てきそうなセリフが、まったくもって違和感ない日々だった。

夫のもとに駆け寄る長女 ©上田初美

2人から3人、4人に増えていったステージ

 年少の次女の幼稚園生活が安定し、午前中は自分たちの時間が持てるようになり、最近久しぶりに夫婦2人で外を歩いた。

 近所に買い物に行くだけだったが、子どもたちが寝た後に、それぞれ自分のことをする時間とはまた違い、なんだか不思議と新鮮で、少しむずがゆいような気もして、2人して無言で歩いた。きっとその頃、長女は小学校で学び、次女は幼稚園で泥だらけになって遊んでいただろう。

 公園で仲の良いママ友に話したら、その人もほとんど同じように夫婦2人で外を歩いたと返された。「デートだね」とみんなでふふふっと笑った。

 戦友として子どもと24時間共に過ごす日々は終わり、きっと私たちはまた1つ違うステージに歩みを進めたのだ。みんな同じように、それぞれの自分たちのステージを歩み進めている。

 メインの登場人物が2人から3人、そして4人に増えていったステージは大変ではあったけど、実りのある、輝いた素敵なステージだった。かけがえのない時間だった。

 次のステージはどんな景色が見られるだろうか。いろいろなことが起こるだろうけど、2人で振り返った時に楽しいステージに、なるといいな。

 まずは結婚記念日に、夫が何を買うのかを楽しみにするとしよう。

 1年間ありがとう。この1年間もよろしくね。

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